【喪神の碑/O2&マリリアードのあらすじ】

O2=本名をオリビエ・オスカーシュタイン。連邦本部情報部の敏腕将校。階級は大佐。優秀だが冷酷な仕事ぶりのため敵も多い。類い希な超能力保持者であるがゆえ人体兵器となる危険性を持つ。

マリリアード・リリエンスール=通称マリリン。シタン病のために滅亡したラフェール人の生き残り。王家直系の王子でもある。異端の黒髪で生まれたため隔離されて育ち、そのためシタン病の発病も遅く、感染するも治療により存命している。


 敵対する組織、ウロボロスに拉致されたO2は、本拠地の実験室で、人体実験に加え拷問を受けていた。O2は組織にとって有害な敵将であると同時に、強い超能力者であることが人体実験の要因。あらゆる薬を投与され、末端の神経組織が破壊されたO2は、マリリアードが見つけ出した時には、医療での治療不可能にまで致命傷を受けていた。薬や拷問にすら屈しなかった、強い精神能力だけで意識を保っているのみ。
 O2のテレパスは、マリリアードの持つ宇宙船クルーのロヴ・ジョナサンと連携しており(ロヴはO2の放った自覚のないスパイ。O2はロヴの意識を通してマリリアードの行動を”見る”ことが可能)、そのことからO2拉致がマリリアードの知れるところとなった。
 強い能力を持った先ラフェール人である王族の一人のDNAをもとに、遺伝子学者だった母親により創られたO2。ラフェール王家最後の直系王子であるマリリアード。二人はDNAレベルで「血のつながり」のある、従兄弟同士。O2の出生事由は明らかにはされておらず(あくまでもオスカーシュタイン夫婦の息子としての登録のみ)、二人はその血の持つ濃さで、互いを存在を暗黙のうちに認識している(らしい)。
 O2を本名の「オリビエ」で呼ぶのは、全世界でも両親を除いてはマリリアードただ一人。誰に対しても温厚で天使のようだと形容されるマリリアードが、O2に対してだけ、辛辣な憎まれ口をたたく。二人の間で、奇妙な友情がいつしか生まれ、お互いに命をかけて相手を護る関係に発展していく。

 ラフェール星は、ラフェール人のみに発症するシタン病ウィルスに冒され、さらにその事実を知らない連邦政府により、シタン病星間感染を防ぐべく、地殻変動弾を撃ち込まれ、事実上壊滅した。
 生きながらに体が徐々に炭化し、激痛の中死んでゆくシタン病は、ウロボロスという組織が放ったウィルスであり、ラフェール人にしか感染しないという事実を連邦政府が知ったときは、ラフェール星は死の星となり、ラフェール星以外に生存していた僅かな生き残りを除き、ラフェール人は滅亡した。
 マリリアードは、ラフェール人にとってのタブー、黒髪を持って生まれたために、直系王家の王子でありながら隔離されて育った。そのためにシタン病の発症も遅く、王家のメインコンピュータ”オドロ”によって護られ、治療を受けながらたった一人で15年間生きた。全てが死に絶えた母星での、孤独な生活の代償に、”オドロ”から与えられた、外での生活は5年間。5年のうちにシタン病はマリリアードの全身を蝕み、寿命が尽きることを宣告されての旅立ちだった。
 シタン病の発症から数年、あらゆる治療で進行を遅らせてはいるものの、マリリアードの寿命は確実に終焉に向かっている。徐々に炭化される臓器をクローン臓器に取替え、病気進行を抑制する薬の副作用で視力、声帯機能を失いながら(しかし、上級超能力者の彼は、声や視力を使うことなく超能力で機能代用が可能)、マリリアードは残された命を、感染を免れ、生き残ったラフェール人存続のために捧げる覚悟をし、生まれて初めて心から愛した女性との日々とも決別した。
 O2を拉致し人体実験したウロボロスこそ、シタン病ウイルスを創りラフェール星を破滅へと導いた組織。O2を救い出すために、シタン病に冒されているマリリアードは、単身ウロボロスの研究所へ乗り込んだ。

 以上がO2とマリリアード中心の「あらすじ」です。面白そうじゃない?と思われた方は是非、津守時生著、喪神の碑シリーズ全5巻、角川スニーカーズを読んでみて下さい。
 その後、時を経てO2の息子が主役となり、現在連載中の「三千世界の鴉を殺し」へと続きます。こちらも文庫が新書館より8巻まで出ています。
 こちらでは、サラディン・アラムートがお気に入り。特殊な生態系であるがゆえに滅亡への道を歩むしかなかった蓬莱人の末裔。どうやらワタシは、この「滅亡する種族の末裔」というフレーズが大好きのようです(笑)。