あとがき

 この話は、2006年夏の松竹座舞台を観て、ほんのお遊びで創作したもので、1幕まで書きあとはずっと放置してあったものを、読まれた方からの「続きはどうなってますか」という1通のメールがキッカケで、当時を思い出しながら2幕を書き足したものです。
 随分と適当でいい加減な話ではありますが(笑)、いっても趣味の世界ですからということで大目にみて戴くとして、これをアイドルがやるのは無理な話です。
 書いた当時と今では世相も変わってますし、まず麻薬が出て来ますからそれだけでNG違いないです。次はナイフによる殺人未遂及び自殺ときてますから、こうなると問題外です(笑)。
 では、何の問題のない平和な話が果たして作品向きかというと、そうでもないわけで。何かしらの非日常的な描写があるから「娯楽」になるわけです。
 私は、観る側がちゃんとそれを理解し、現実社会との分離が出来ているなら問題はないと思っているので、演技力を楽しむという目的も兼ねて、こういう題材を関ジャニ∞で見たいなとの願望を、こうして形にして楽しんだ次第です。
 改めて見て可笑しかったのは、役名は当時のままで漢字を当てはめただけなんですが、ヤスの役名「宗佑」が、今話題の錦戸君ドラマでの錦戸君の役名まんまな点です。
 私はドラマを見ていないので、あまり違和感を感じないのですが、ドラマを見ている方には不思議に感じるかもしれません。

 島での記憶を無くしてしまうのは、なんだか冷たいような気がしますが、あのまま覚えていると現実社会に戻った時に弊害になりますし、島の存在を永遠のものにするための敢えての設定でした。鴻村だけが覚えていればいいかな、と。
 劇中でも触れましたが、涜真は島の子供ですが奇形児で生まれたため鴻村会長が連れ帰り、内密に手術をして島へ戻したという設定です。そのことが原因で涜真は多重人格を併発し、13歳くらいに鴻村の船に忍び込んで本土へ渡り、ああいう人生を送ることになったのですが、それを書いていたら収拾付かなくなってしまうため割愛しました。
 不思議の島は、鴻村家の血筋と三位一体のような関係で、鴻村家の人間を迎え入れるために磁場嵐が止むという超常現象が起こる仕組みが、環境の変化が影響してそれが狂ってしまい、島が保身のために永久に外部との接触の道を絶ったという設定です。
 大~様にあたる鴻村家の血筋を持つ駿二が島に残ったので、島は安心して外の世界から身を隠したわけです。
 もともとは、罪人の流刑地であり「死者の島」といわれた島を明治維新の動乱期に鴻村家が引き受け、隠れキリシタンや、いわくのある人々をかくまったのが第二の発祥で、死者の島だった島が、森と自然が支配する島へと鴻村家の庇護のもと独自の発展を遂げたもの。それが第一次大戦の前あたりに、しかるべき機関から内密に麻薬製造を依頼された鴻村財閥の総帥が、悩んだ挙げ句に島の一角で誰知られることなくそれを実行した。工場には本土の人間を連れて行き、1年という短いサイクルで交代していたが、中には島の娘と恋に落ちた者もおり、島に帰化して工場を統治したのが涜真の家系。
 因みに涜真は双子で生まれたが、腰の部分で繋がっていた奇形。島の存在が極秘であったため、鴻村会長は海外で切り離し手術をさせたものの、片方の死によって切り離しが成功。涜真が2歳頃の出来事で、島には子供は亡くなったと伝えられた。
 涜真は島の子としてではなく、鴻村が本土から連れて来た子供として4歳の時から9年間島で育つ。背中のアザについては、島人は疑問に持たない。なぜならば、島人全員にあるものだから、人間には「あって当たり前」という認識になっているため。しかし、本土からの人間には無くても特に疑問に思わない。西洋人の髪が金髪だったり黒かったりしても驚かないのと同じ理屈。

 こういうように、ひとつひとつの疑問に理屈をつけながら話を組み立てていきます。大まかに理屈がついたら、あとはもう創造の世界です。
 最後に、2幕で2曲だけ歌が出て来ますが、これはもちろん創作ですが、元になる曲は存在します。その曲の音符に合わせて歌詞を当てはめているので、その曲があれば歌える仕組みになってます。
 淋太郎とカルラのデュエットについては参考にした曲は伏せますが(挙げても誰も知らないでしょうから)、最後の曲は関ジャニ∞の曲で、ANOTHER初演で歌われた曲です。その曲で歌えるような語呂になってますので、遊び心のある方は探してみて下さい。
 ここまで読んで下さっているアナタ、もしかして、凄くヒマですか?(笑)
 久しぶりに最後までお遊びの世界を書けて楽しかったです。2年前はこうして遊ぶ元気がまだあったんですねぇ。老いたな、自分・・・。
 それでは、いつかまたお目にかかれる日を願いまして、この辺で。最後までお付き合い下さり、有り難うございました。

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