「・・・・・君は?」






犬のいる生活5












「キラ!!」
「わっ!?」
驚いて呆然としているキラに、俺は嬉しさのあまり思わず抱きついてしまう。
そう、あのインチキくさい儀式のおかげかどうかわからないけど、俺は人間になれたんだ!!
「キラっ俺、人間になれた・・・っ・・・!!儀式でっ!!」
「ちょっと待ってっ!・・・・もしかして・・・・シン?」
キラは俺のいつもの姿を探して足元を見るけど、恐る恐る俺の名前を呼ぶ。
「だから人間になれたんだって!!」
ずっと抱き締めたかった細い身体に腕を回し、キラの口元をいつものようにペロペロ舐める。
「シンだめだって!(/////////)」
だけどキラは何故か顔を赤らめ、俺から身体を離してしまう。
「とりあえず僕の服着せて・・・・って、シンしっぽ!!」
「あ」
なにやらブツブツ呟いていたキラがいきなり俺の下半身を指差す。
見るとまだしっぽが残っていたんだ。
やっぱり鶏の頭蓋骨じゃだめだったのか。
「これじゃあ外に出せないかも・・・。とりあえず、僕は会社に行かなきゃいけないから。
帰ってくるまでおとなしくしていること」
えっあいつからキラを守るために人間になったのに、それじゃあ意味ないし。
「えー。俺もキラと一緒に行きたい」
「ダーメ。とりあえず服着てね」
俺は不満の声を上げるが、キラは俺に無理矢理服を着せて、出て行ってしまった。












とりあえず人間になったけど、することがないからいつものように日向ぼっこ。
いつもより日が当たるところが少ないけど、うとうととしながら平和な時間を過ごす。
すると、
『・・・・シン・・・・なのか?』
『やだ。ホントに人間になっちゃったの?』
「レイ!ルナ!!」
いつもの黒猫ともう一匹、茶虎のルナマリアだ。
どうやら人間になってもこいつらの言葉はわかるらしい。
俺は飛び起きて、鍵を開ける。
すると二匹はするりと部屋に入ってきていつもの絨毯のうえに転がる。
『ヨウランやヴィーノたちがお前の噂をしていて確かめに来たんだ』
「ああ・・・あいつらか」
ヨウランとヴィーノはここいらに住み着いているカラスの2人(羽?)組だ。
さっきなんか話し声が聞こえたと思ったけど、あいつらだったのか・・・・。
『レイから話は聞いてたけど・・・・でも本当に人間になれるなんて思っていなかったわ』
感心したようにルナは俺の顔を肉球で触る。
『レイったらタリアに嫉妬して邪魔してやるーとか言って人間になろうとしたのよ?
やっぱりそういう邪念があるとなれないのね』
『言うなルナマリア・・・・・』
・・・・・俺もそれ初耳なんだけど。
ルナが言うタリアとは、ギルバートさんの奥さんだ。
もともとレイはギルバートさんの猫で、ルナはタリアさんの猫。
だから2匹は2人が結婚してから一緒に暮らしている。
『シンだってキラさんのために人間になったんだ。俺だけ責められるいわれはない』
『あらそうなの?』
「ばらすなよレイ!!」
ルナに知られたらご近所のペットたち全員に知られちゃうじゃんか!!
「とにかく、俺がこうやってなれたんだからレイも試せば?」
『ああ、次の新月には俺がやる』
そう言って黒猫はゴロゴロ喉を鳴らして毛づくろいを始める。
ルナは目を細めて眠る五秒前。
・・・・・てーかお前ら早く帰れよ!!












「ただいまー」
あっキラだ!!
「キラ!おかえ・・・・・」
いつものようにキラをお出迎えするために、玄関へ走る。
すると、
「いいじゃん、自分の家なんだし。アスラン細かすぎ」
「だめだ。靴ぐらいそろえろ」
なんでアイツがいるんだよ!!
「あ、シンただいま。いい子にしてた?」
いつものように頭を撫でてくれるけど、そんなことよりも後ろのアイツだ。
「本当にシンなのか?」
「うん、僕も今朝ビックリしたんだけど」
当たり前のようにうちにあがりこんでくるアイツに眉をひそめる。
「なんであんたが家に入ってくんだよ!!」
「シン!!」
怒りをあらわに俺はキラとアイツの間に立って睨みつける。
「出ていけよ!!」
驚きとまどっているアイツを力づくで家から出し、鍵を閉めてしまう。
「シン!!アスランに何てことするんだ!!せっかく君の事で相談に乗ってくれるって・・・」
「なんで!なんであんな奴を家に上げるんだよ!?なんで俺の事話しちゃうんだよ!?」

わからない。

「なんでって・・・・」
「どうして!どうしてキラはアスランアスランってアイツのことばっかで・・・!」


今俺が何を言っているのか。


「俺がどうして人間になりたいって望んだのか、どうせキラはわかってくれないんだろ」


これから俺が何をしようとしているのか。


「教えてやるよ。俺が今までどういう気持ちだったかってことをな」


俺は激情のままに、キラを押し倒していた・・・。





                                             続く