第23条
 貴族たるもの、いかなる時も領民の味方であり奉公者であるべきである。










Gloly Knight!!5








「アスラン!!」
あの色んな意味で衝撃的な出会いから5日後・・・
キラはイザークやフラガの目を盗んでちょくちょく湖に来ていた。
幸いな事にキラの課題であるダンスのレッスンはイザークの公務が終わってからなので、
夜になることが多く、抜け出すのはそう難しいことではない。
当初はばれやしないかとヒヤヒヤしていたのだが。アスランは知識は兎に角豊富で、
キラを飽きさせることがない。
それに自分のことをまったく話さないというのに、彼は何も言わず接してくれる。
キラはすっかりアスランに安心しきっていた。
「カミーユ、今日は遅かったね」
アスランもキラがジュール家の次男・・・いや、長女だということに気付くはずもなく、
天真爛漫で子犬のようなキラにどんどん惹かれていった。
他者から見れば、アスランのその気持ちはまさしく恋なのだが、
鈍感なアスランが自分の気持ちに気付くのはしばらくかかるだろう。
「ごめん、ちょっとね」
今日は少し人目が多く、抜け出すのに時間がかかってしまった。
キラは少し申し訳なさそうに笑う。
あれから毎日彼と会っているのだが、アスランがキラよりも遅く来たことはない。
お昼過ぎ、と大体の時間で約束しているのだが、彼はいつからここで自分を待っているのだろうか?
「アスラン、今日はどんな話をしてくれる?」
「そうだなぁ・・・・・」
異国よりやってくる旅芸人たちの話、山奥のどこかにいると伝えられている伝説の飛竜や
錬金術の失敗談に至るまで、彼の語る伝説や話は多岐にわたる。
彼独自の視点で語られる物語は、例え聞いたことのあるような陳腐な御伽噺でさえ新鮮なものに感じさせる。
傍らには2人の愛馬が仲良く草を食んでいる。
うららかな春の日差しが惜しげもなく降り注ぎ、穏やかな時間を2人は過ごしていた。
しかし・・・・









「そこ違ぁうっ!!」
「ええっ!?」
イザーク指導によるキラのダンスの特訓は熾烈を極めるものであった。
鬼コーチであるイザークはステップの一つでも、お辞儀の仕方にしても、ミスを見逃さない。
キラもキラで、公務を終えて疲れているであろうイザークを気遣って、
早めにあがろうとするのだが、それで気が焦ってしまう。
そのために逆につまらないミスを招くのだ。
そしてイザークの機嫌はどんどん下降線を描いていく。
「何回言えば覚えるんだ!?ステップはもっと軽く!!自分の足に引っかかって転ぶ気か!?」
イザークの額に青筋が浮かぶ。
いくらキラに甘いイザークだからと言って、完璧主義である彼に妥協などと言う言葉などない。
それが貴族の嗜みであるダンスならなおさらだ。
(助けてムウさん!!)
イザークに怒鳴られ、涙目になりながら視線でムウに助けを求める。
しかし、
(・・・・頑張れよ!)
壁際で見守っていたムウは白い歯を見せ、いやに爽やかな笑顔でキラを励ます。
・・・・どうやらムウもイザークの怒りのとばっちりは避けたいらしい。
「早く終わらせようなんて考えるな」
ビクビクと首をすくめて上目遣いで自分を見つめるキラを見て、イザークは少し落ち着いた声でキラを諭す。
「俺はいくらでも練習に付き合ってやる。遠慮なんてしないでいい」
イザークはキラの栗色の髪を愛しそうに頭を撫でる。
「誰のためでもない、キラのためだからな」
「イザーク・・・・・」

本番まで、あと一週間。



続く




イザークは完璧主義者だと信じてます。

プラウザバックでお戻りください。