「お、坊主。お前も休暇か?」
「フラガ少佐もですか?」
「ああ、でも他の連中から買い物を頼まれちまって。これがまたすっげえ量なんだよなー」
「じゃあ僕も付き合います。いきなり休暇って言われても行く所はないですし」
キラの場合
「お・・・重い」
2時間前のフラガ少佐との会話を思い出して、僕は今かなり後悔していた。
右手には煙草やら酒瓶など嗜好品がパンパンに入った袋、左手には洗剤に衣類、塩や砂糖などの生活必需品が詰められた紙袋。
確かに少佐は「すっげえ量」と言っていたけど、ここまで大量とは思ってもいなかった。
「だ、大丈夫か坊主?ふらついているぞ」
僕がふらふらと蛇行しながら歩いているのを見て、少佐は慌てて僕を支えてくれる。
「す、すみませんフラガ少佐。・・・・・それにしてもすごい量ですね」
なんとか安定してフラガ少佐の横に並んだ。
フラガ少佐はぼくよりも大量の荷物を持っているのに、全然ふらつく様子もない。
やっぱり鍛え方が違うのかなぁ・・・・・。
「・・・・フラガ少佐?」
ぼんやり歩いていたのか、フラガ少佐が後ろのほうで立ち止まっていたことにしばらく気がつかなかった。
「・・・・坊主、俺は諸事情により戦略的行動に移ることにする」
「え?」
フラガ少佐の視線の先には、
「少佐・・・・そのうち艦長にあきれられますよ」
きれいなお姉さんが一人・・・・・たぶんフラガ少佐に向かって手を振っていた。
「だいじょーぶだいじょーぶ、俺いい男だから♪(謎)。ちと荷物置いてくからそこのベンチで待っててくれ」
「あっフラガ少・・・・」
・・・・・行っちゃった。
ぽつんと取り残された僕は、しょうがなく少しペンキの剥げたベンチに腰掛ける。
3人がけのベンチが荷物に占領されちゃったけど、周りに座ろうとする人もいないし、まあ大丈夫かな。
「・・・・・アスラン・・・・・」
ぽつりと、彼の名前を呟く。
忙しくしている間だけは忘れていられたけど、夜寝る時や、こうやって一人になった時は絶対に思い出してしまう。
『・・・・これ、君の?』
初対面の相手に話しかけるようにたどたどしく、言葉数の少なく話しかけてきたアスラン。
『・・・・大事な友人にもらった大事なものなんだ』
『そう・・・・・』
振り向きもせず、それだけを言い残して去っていたアスラン。
彼とわかりあうことは、もう無理なんだろうか・・・・。
僕は足をぷらぷらさせながら、ただフラガ少佐が来るのをひたすら待った。
・・・そして祈った。
・・・・・・・・・・せめて戦争が終わるまで、もお会いませんように、と。
神様仏様、誰でもいいですから助けてください。
身体が恐怖でブルブルと小刻みに震えだすのを感じる。
だってほら!!TVではあんな格好よく去って行ったけど、あの日気になってもう一度あの場所に行ったら
手で穴を掘った跡とか海に向かって何かが引き摺られてった跡があったんだよ!?
あれがアスラン関係だということは考えなくてもわかる。
身を守るために必死になってストライクのOSをカスタマイズしようとあらゆるデータが構築しては消え、構築しては消え、という作業が繰り返される。
そのせいで・・・・僕の後ろで『ガサッ』とか『ズリズリ・・・』という不審な音と通行人達の不審な視線に気付くことが出来なかった。
「やあ、キラv」
・・・・・・・はぁ?
聞こえる筈がない声に、身体がビクリっと脊髄反射で震える。
これを見たら怖くてトイレに行けなくなるとわかっていてもホラー映画を見てしまう気持ちがわかる。
見たくない、認めたくないと思いつつもギギギギと首が嫌な音を立てながら後ろを振り向いた。
「ア・・・・アスラン・・・?」
う・・・・うわぁ・・・・どうしよお・・・・(汗)
後ろを振り向くと、そこには予想どおりアスランがそこにいた。
それにしてもあまりに爽やか過ぎてある意味不気味。
「久しぶりだね、キラ。元気にしていたかい?」
久しぶりって昨日会っただろう!?
アスランは僕の左隣にあった荷物を強引に除けて僕の隣に座る。
「アっアスランこそ元気だった?・・・・よね」
なんとか冷静に友達らしい対応しようと会話を試みてみる。
(・・・・元気に決まってるよね。だってあんなに元気に僕らを追い回してるんだし。・・・・イージスで)
「キラ・・・・すこし痩せたみたいだ。ちゃんと食べてる?」
・・・・・・・え?
なんかアスランがまともなこと言ってる!?
なんだか・・・・月にいた頃に戻ったみたいで、少し気恥ずかしかった。
「そんなこと・・・・アスランには関係ないじゃないか」
僕はそんな気持ちを隠すように、そっぽを向く。
だけど・・・・それがいけなかった。
僕のあごにぺたっとアスランの指がついたと感じた瞬間、
ゴキッ!!
首の骨が嫌な音をたてて鳴るぐらい強い力で無理矢理アスランのほうへと向けられた。
(い・・・・痛い・・・・・)
「キーラ、そんな可愛くないことを言って・・・・俺には心配さえさせてくれないのか?」
「そういうことじゃないけど・・・・」
そう、そういうことじゃないんだ。
どちらかと言えば僕の心配より嫌な音が鳴った首の骨の心配をしてほしい。
彼はこのおそろしい音に気づかなかったんだろうか?
「例え今お前がナチュラル側で、俺がザフトにいるからといっても、俺はいつもお前の味方なんだ。
だけど・・・俺はお前がそうやって日に日に痩せていくのを見るとつらいよ・・・」
「アスラン・・・・」
なんか真面目なこと言ってる!
なんか普通なこと言ってるYO!!(壊れ気味)
(やっぱり・・・・アスランは僕のことを・・・・・)
そこまで考えていた瞬間、
(・・・・・・・・・・・・!!??)
なんだかゾクッとした感覚が背中を通っていく。
反射的に身を翻すと、僕が今まで座っていたところを何かが通り過ぎていった。
「ゲッチュー!!!!!」
「ええっ!?」
(・・・・・・・網!?)
そう、僕がアスランから視線をそらし、うつむいた瞬間に彼はいきなりおっきい網を振り回してきたんだ。
こんな・・・・こんな・・・・・!!
「せっかくシリアスしてたのにー!!!」
「あっキラ!!」
(三十六計逃げるにしかずっ!!)
僕はせっかくのシリアスなシーンを台無しにされて、思わず荷物もそのままに逃げ出しにかかる。
「キラ!!ここにお前の好きないちご大福があるぞっ!!」
(・・・・・・え?)
しかしアスランの言葉に、僕は思わず足を止めた。
恐る恐る振り返ってみると、アスランの手の中にはあの有名な・・・・!!
「順番待ち1時間売り切れ覚悟の笑福亭最高級いちご大福だよ?キラは昔から好きだったよね」
アスランがにっこり笑って手の中にある物体をよく見せる。
「う゛っ」
やっぱりあの包装紙は・・・・僕の大好きな笑福亭最高級いちご大福!!
なんだか漫才師みたいな店の名前だけど、月にしか売っていないあのいちご大福は
近くに住んでいたってなかなか口に入る物じゃない。
なんだかアスランがじりじりとこっちににじり寄ってきている気がするけど、それどころじゃない。
いちごと餡子というミスマッチな組合せに限りなくベストマッチに近づけた味・・・餅の柔らかさは尋常ではなく保存料も一切使っていない。
たった1日置いてもすぐにカビが生えてくるほど特選素材にこだわりぬいた大福なんだ。
「ほーらキラ、ザフトに来たらキラの好きなものがたくさん食べられるよー?」
・・・・ザフトに行ったら色々食べ放題!?
だ・・・・だめだよ!!アークエンジェルのみんなを見捨てるわけにはいかないって!!
で、でもちょこっとだけ行って食べるだけ食べたら逃げるとか??
うーん・・・・でもそっから逃げ出すことはなかなか難しそうな・・・・(汗)
そんなことを考えていると、アスランはごそごそ懐からある物を取り出した。
「ちなみにチョコボールの期間限定キャラメルマキアート味もあるが」
「行くv」
・・・・・・・・・・・・。
え・・・・えーと・・・・・(汗)
だってチョコボールは期間限定だよ!?
チェックはしていたんだけど、時期外しちゃって買えなかったし。
ついつい即答してしまった僕は、何故か微妙に落ち込んでいるアスランに抱きついていちご大福をもらう。
こうして僕はアスランにお持ち帰りされてしまったのだった。
「・・・・・あれ?坊主?」
大量の荷物とフラガ少佐をすっかり忘れて。
TO BE CONTINUE・・・・?
これでアスランの変態っぷりがさらに明かされましたね。
・・・・・ああっ石を投げないでくださいっ!!
いや、Gの記憶で真面目なことばっかりやっているのでギャグ書かないとやってられません。
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