戦争なんて考えたことがなかった











何が起っているのさえ知らなかった











だから戦争の終わりなんて・・・・










Missing the way  









キラ達が船を下りてから3日後。
彼らをのせたジープは灼熱の砂漠を駆け抜けていく。
「キラ・・・・・ちょっといいか」
「何?ガロード」
じりじりと焼き付ける太陽の日差しの下、ガロードは真っ直ぐ前を向いたまま隣のキラに話しかけた。
となりのキラは、蒸し暑さに辟易しながらなんとか返事をする。
幸いなことに車は幌付きだったので直射日光の被害を避けることは出来たのだが。
窓の周りは雲ひとつない青い空と黄金色の砂丘のみ広がっている。
「非常に言いにくいことなんだけど」
ガロードの額から、暑さから流れていた汗とは別の、嫌な汗が流れ落ちる。
「・・・・もぉいい。わかったから」
キラは、彼の言わんとしている事を理解し、ため息をついた。
周りは砂とたまに岩肌が見え隠れしているのが見える。
「ガロード・・・・あまりにもお約束過ぎるよ」
そう、彼らはさっそく砂漠のど真ん中で目的地を見失ったのだった。
「いやー周りはみんな砂だし、地図も古いからぜんぜんわかんないしさー」
ガロードは誤魔化すように笑う。
そんな彼にキラは若干の先行き不安を感じたのも否めなかった。
「とにかく目印みたいなものが何か・・・」
一旦車を止め、2人は注意深く周りを見回す。
不幸中の幸いというべきか、砂嵐は吹いていないため、視界は十分すぎるほどクリアだった。
「僕ちょっと外に出て見てくるよ」
車の上にのってもいいよね?とキラはガロードに確認を取り、外に出た。
外は車の中とは違ったきつい日差しに、少々目眩を感じる。
キラは車の焼けたボンネットの上に注意深く上り、遠くを見渡した。
しかし、周りは砂・・・・砂・・・・街・・・・砂・・・・
「・・・・・あっ!!」
キラは慌てて視線を戻す。
暑さのせいで少々ぼーっとしていたが、確かに街が見えた。
「ガロード!街だ!!街が見える!!」









アフリカ大陸・・・・そこはビクトリア基地を拠点としたザフトの支配下に置かれている。
しかし反ザフト・レジスタンスはまだ制圧しきれていなく、未だ交戦状態にある。
キラとガロードがたどり着いたここ、バナディーヤもその街の一つだ。
表面上はザフトが占領し、拠点にしているとはいえテロ行為など、日常茶飯事となっている。
「とりあえず俺は新しい地図と燃料探してくるから、キラは食料と水を頼むよ」
じゃ、これ、とキラの手にカードが置かれた。
「ちょ、ちょっと待って。このカード・・・・」
さっさと反対方向へ向かおうとするガロードを、キラは慌てて肩を掴む。
「この旅の資金とかどうしてるの?港町でも結構買っていたし・・・・」
深刻な表情をして問い詰めてくるキラに、ガロードはきょとん、とした顔をした。
「あ、だいじょーぶだいじょーぶ。変な金じゃないし」
ガロードの説明はこうだ。
キラに渡したカードに入っている金は確かに自分の金だ。
ガロードはいわゆる何でも屋をしており、配管工事からMSの操縦までなんでもこなす。
もちろん仕事がリスクが高いともらえる額もかなりのものだ。
しかしそれらの金はティファとつつましく自給自足の暮らしをしているのでほとんどが使われず、貯まっていくだけという状態にあった。
「砂漠にいる友人に預けといたらいつのまにか株で増やしてくれていて、すっげえ額にまで膨らんじゃったし。
連合軍に目ぇつけられちまうからとっとと使ったほうがいいんだ」
「ふーん・・・・」
ガロードの説明に一応納得するキラ。
ちなみに今ガロードがもっているほうは、情報操作用。
見た目は普通のクレジットカードだが、このカードを使えば特定の口座から引き出すことが出来る。
引き落とし先は某国政治家達の裏帳簿からランダムで引かれるようになっている。
ものがものだけに、政治家達は訴えることも公にすることも出来ず泣き寝入りするしかない。
もちろんこのことは言う必要は無いのでキラには内緒にしておいたが。
ガロードはこれ以上聞かれないようにさっさとキラと反対方向へ歩いていった。
なんとなく釈然としないものを感じながらも、キラは回れ右をして歩き出そうとした時・・・・

「・・・・君は・・・・」




Missing the way  
     ―――――――見失った道



                                                                                                    続く