「・・・・・目標確認。これより任務を開始する」














Wings from which it fries down












「・・・・・・・・なっ・・・・!?」
AAブリッジクルー全員が我が目を疑った。
後方から一筋の白い光が過ぎ去った瞬間、デュエルの近くに降り立ったディンがいきなり爆発したのだ。
マリューはナタルが指示したのかとCICの方を見るが、誰もが呆然としていて攻撃したとは思えない。
『おい貴様らぁ!!降伏しておいて攻撃してくるとはどういうことだ!?』
降伏の信号弾を上げた後、こちらに通信してきた・・・想像していたより遥かに若い・・・デュエルのパイロットが噛み付くように怒鳴り散らす。
『へ〜?降伏後に攻撃なんて、あんたらがさっき言った条約的にやばいんじゃないの?
さすが下等なナチュラル共だ。やることが違う』
今度は別回線からまた人をからかうような軽い声が聞こえる。
言うまでもなく撃ったのは後部デッキに取り付き、ブリッジからもディンからも死角にいたバスター・・・そう、ディアッカだった。
『フン。それならこのまま沈めても文句はないな』
「ま・・・まって!!攻撃したのは私たちではないわ!!」
慌ててマリューは否定する。
このままあの攻撃を自分達のせいにされてしまえば、このまま艦を沈められても捕虜どころか全員その場で銃殺されても文句は言えない。
しかも、連合が戦争に負けたとしたら降伏したと見せかけて攻撃したと卑怯者のレッテルを貼られ、大勢の軍人達の軍事裁判は免れないだろう。
ストライクと大元は同じであるデュエルとバスターにもレコーダーはついているだろうが、人間の記憶と違い、記録は簡単に改竄することが出来る。
違うということを証明する者がいなければ、改竄された記録が真実となってしまうのだ。
この場にはデュエルとバスターのパイロット、そして死をもって口を閉ざされるAAのクルー達しかいない。
ブリッジの目の前に立つデュエルはビームサーベルを大きく振りかぶる。
AAのブリッジクルーの誰もが、死を覚悟した。
その時、

ガァンっ!!!!

『なん・・・・・っ・・・!!??』
ブリッジに衝撃が走り、デュエルのパイロットの慌てた声とともに回線が切れる。
マリューが恐る恐る目を開けると、
「・・・・ス・・・・あれは・・・・Gなの・・・?」
ストライク?と言いかけたが、マリューは言い直す。
機体の色や全体的なものは似ているが、明らかに違っていた。
背中にはまるで天使を思わせる純白の羽があったのだ。
だれもが見たことのない美しいGに、言葉を失くす。
新たに現れたGはビームサーベルを振りかぶったデュエルを海に叩き落し、牽制するように頭のサブマシンガンで攻撃する。
呆気に取られていると、今度は後ろでも異変が起きていた。
「ナタル中尉!!後方デッキにも未確認のGが取り付いています!!」
「なんだと!?」
トノムラの報告にナタルは慌ててレーダーを確認する。
「何も映っていないじゃないか!!」
レーダーには何も映っていない。
しかし、ナタルはある異変に気付いた。そう、先程までそこにはバスターがいたはずなのだ。
なのに何も映っていないことは有り得ない。
「後部モニターで確認できます!ブリッツのような黒い機体が・・・・っ!!」
もはや彼の声は悲鳴に近い。
「なんなんだ・・・・・?」
ナタルも確認した。
先程まで後部デッキに取り付いていたバスターではなく、こちらも死神のような鎌を持った未確認の機体がいるということを。
そして、彼女は言葉に驚愕の感情を込めて呟いた。
「・・・ステルス機能・・・・だと・・・・?」
ステルス機能の開発は連合でもザフトでも必死に行われているが、未だ完全なものが完成したという話は聞いた事が無い。
ブリッツにはそれに近いミラージュ・コロイドがあるが、あれを発動するにはフェイズシフトを解かなければいけないという欠点がある。
あれがザフトのMSでないのならば、ザフトよりも高い技術力を持つ第三勢力があるということなのだ。
『こちらウイングゼロ。AA、応答しろ』
目の前にいるGが回線を開いたらしく、スクリーンにパイロットの顔が映し出される。
マリューは目の前の事実を信じられず、またも愕然とした。
スクリーンに映し出されたパイロットは、ストライクのパイロットであるキラとあまり変わらないであろう年の少年だったのだ。
『AAは早く発進し、このままオーブへ向え』
低く淡々とした声で少年は自分達へと指示を出す。
『オーブとは話がついている。事情は後だ』
それだけを言って少年は回線を切った。
「・・・・・あ、アークエンジェル発進!!エンジン最大でオーブへ向います!!」
我に返ったマリューは未確認の機体2機を載せたまま、AAを発進させるよう指示する。
ストライクに似たGは、それと同時に追いすがろうとするデュエルとバスターに、大きなライフルの銃口を向けると、
AAが浮き上がったと同時に白い閃光を放った。










誰もいない、うすぐらい作戦室。
ウズミ・ナラ・アスハはモニターをつけ、とある場所への極秘回線を開いた。
モニターに映るのは、自分の娘とそう年は変わらないであろう少年だった。
だが、彼の姿にはどことなく高貴な雰囲気を持っている。
「・・・・ご協力感謝します、カトル・ラバーバ・ウィナー」
ウズミは目礼し、少年に感謝の意を述べる。
『いいえ、もとはといえば僕達の不手際でしたから。かえって申し訳ありません』
少年は丁寧な口調ながら元とはいえオーブの代表に少しも臆することなく、まっすぐ視線を向ける。
『ぼくらの仲間から大天使を見つけたと連絡がありました。そちらに向かわせますので、あとはお願いします』
「わかりました。“あの方”によろしくお伝えください」
そう言ってウズミは通信を切り、1人深いため息をついた。











Wings from which it fries down
               ――――――――――――舞い降りる翼