「この戦争はどちらが勝つと思う?」
「は?」
「ザフトのアスラン・ザラとしてではなく、君個人としての意見を聞きたいのだがね」
「私個人として、ですか」
「技術力や物資面などから考えてザフトが優勢だと思いますが、人的な戦力としては連合軍のほうがはるかに上です。
五分五分・・・いや、それにしても6分4分でザフトだと推測します」
「まあ、客観的にみればそんなところだろう」
「しかし、すでに決着はついているのだよ」
Live or death?
「3番5番ウォンバット被弾!!」
「動力部で火災発生!」
爆音と振動がブリッジに響いた。
「イーゲルシュテルン、てぇー!!」
報告される被害状況に、ナタルは苦虫を噛み潰したような顔になりながらも、今ある危機を脱しようと必死だった。
アラスカとは連絡がつかず、場所が場所なだけに補給も受けられなかった。
「だめです!推力保てません!!」
ノイマンは必死に操縦桿を引き上げながら、マリューを振り返る。
彼女は目の前に映る現実を睨みつけ、必死にこの状況を打破しようと歯を食いしばる。
モニターに映るのは、デュエルとバスター、ディン1機。
先程フラガのスカイグラスパーがディンを2機落としたが、すでにその機体はぼろぼろだ。
ストライクがないこの状況で、ここまで撃墜されずにいるということは既に奇跡に近い。
だが、AAに攻撃を加え続けているバスターとデュエルは未だ無傷でいる。
「とにかく戦闘から離脱することを最優先して!!アラスカからの連絡は!?」
マリューはブリッジクルー達に檄を飛ばしながら、2機のGが映るモニターを睨みつける。
「艦長!アラスカと連絡とれました!!」
「なんですって!?」
その時、今までまったくの無反応だったアラスカから、1枚の点と丸で構成された紙が送られてきたのだ。
しばらく食い入るように一枚の紙を見ていたカズイだが、その内容を理解して一気に顔が青ざめた。
「か、艦長!!」
マリューに渡された紙には、信じがたいことが書いてあったのだ。
「貴艦大西洋連合第8艦隊所属AAは和平を望む連合軍の意思に反している故、
戦力の増援をすることは不可能である。艦長各以下は、賢明な判断を望む」
彼女が暗号文を静かに読み上げると、ブリッジは異様な沈黙が流れる。
「和平だと・・・・っ!?聞いていないぞそんなこと!!」
その沈黙に耐え切れなくなったナタルは声を張り上げた。
「見捨てられた・・・・」
呆然として、呟かれたマリューの言葉がいやに響いた。
「戦局がザフトに傾いてきて、お偉方が保身のために私たち一部の軍人のしたことにしたいんだわ・・・・」
「艦長!」
ブリッジのクルー全員がマリューに視線を注いだ。
彼女の一存で、AAの運命が決まる。
「・・・・・っ連合軍は和平を希望するにあたり、本艦は十分にその任務を果たしたと判断します。
この後の判断はAA艦長であるマリュー・ラミアスの独断であり、他のクルーに責任はありません。
人命を優先するために、これより本艦は」
「ザフトに投降します」
パシュッと乾いた音とともに、3つの光がAAから発射された。
投降のサインである緑の信号弾だ。
「お、ようやく観念したか」
信号弾を確認したディアッカは、愉快そうに呟いて、抵抗のなくなったAAの後方デッキに着艦する。
先程からチョロチョロしながらディンを2機も落とした戦闘機にも連絡があったらしく、AAの中に収容されていった。
「ま、予定通りだろう」
イザークもAAの前方デッキに着艦し、回線を開く。
「こちらデュエルのパイロット、イザーク・ジュールだ。この艦の責任者は所属名を言え」
『こちら大西洋連合第8艦隊アークエンジェル。艦長のマリュー・ラミアスです。私たちの扱いは条約に従ってください』
返ってきた声は予想していたものとは違い、女性であることにイザークは少々驚くが、とりあえずマニュアル通りに指示を出す。
「一旦、エンジンを止め着水しろ。臨検後、カオシュン基地に連行する」
『・・・・・・了解した』
同時に、ゆっくりとAAの高度が下がっていく。
それに合わせて残る1機のディンも高度を下げる。
デュエルのサブモニターに映るディアッカの口元が、にやりと上がった。
Live or death?
―――――――――――生か死か
続く