迷信的AK関係2
〜あの時、牛乳の味を想像しながらアップルジュースを飲んだ気分だったね(ディアッカ談)〜
〜再びキラさんの場合〜
「遅かったですね、アスラン」
「なーにやってたんだよ?」
おかっぱさんに怒って出て行かれてから30分、なんとかザフトの制服に着替えた僕は、作戦会議とやらが始まっているブリッジを探しあてることができた。
(つ・・・・疲れたっ・・・・)
僕はゼハゼハ肩で息をしながら、ふらふらと同じ制服の色の人たちの輪に加わる。
「アスラン・ザラ。何か言うことはないのかね?」
淡々とした声になんとか息を整えて顔を上げると、仮面の人が自分を睨んでいる(ような気がする)。
白い制服とか仮面とか微妙に偉そうな感じがする。きっとこの人がアスランの上司なんだろう。
(えっと、こういう時アスランなら・・・・)
僕はアスランの記憶を頭の中から必死で引っ張り出す。
そう言えば・・・
『アスラン遅いなぁ・・・・・』
幼年学校のころ、アスランが遅れてきたとき、彼は自分に向かってこう言った。
『ごめん、待った?』
『ううん、今来たところ』
実際のところ30分ぐらい待ちぼうけだったんだけど、アスランの顔を見たらどうでも良くなってしまった。
アスランは急いで走ってきたらしく、少し息を切らせている。でもそんなアスランの姿がとっても爽やかだったのを今でも覚えている。
(これだっ!)
僕は心の中でガッツポーズをし、大きく息を吸い込む。
「ごめん、待った?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ガターン!!!
ビーッビーッ!!!!
「緊急事態発生!!」
「バランサー制御不能!!だめです!バランスが保てません!!!」
「自動操行装置狂いましたっ!手動に切り替えますっ!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「あ・・・・あれ?」
どうして皆、いっせいに倒れたんだろう?
てかなんで艦にまで被害が・・・・(汗)
「お、おいアスラン!!お前なんか変なもの食ったのか!?」
なんとか回復したらしい同じ赤い制服の黒い人が僕に詰め寄ってくる。
「え・・・ええ?僕なんか変なこと言ったっけ??」
「ぐはあっ!!」
う・・・うえ?なんで僕がちょっと小首かしげて聞きかえしただけでこの人は泡を吹いて倒れるの!?
僕はどうしていいのかわからず、立ち尽くしていると今度は緑色の髪の彼が復活した。
「アスラン・・・・性格変わるほど疲れていたんですか?それなら休んでも良かったのに・・・・」
ポン、と僕の肩を叩く彼のほうが疲れて見えるのは何故だろう?
あ、心配してもらったっぽいし何か言ったほうがいいよね、この場合。
そういえば彼はこの前AAに潜入した(?)アスランを回収しに来た・・・
「ありがとう、でも大丈夫だよニコールくん」
「僕は女優じゃないです」
しまった。間違えちゃった。
「や・・・やっぱり調子悪いみたいだし僕部屋に戻るね」
笑顔で訂正する彼に僕は何かうすら寒いものを感じながら、混乱するこの場を撤退しようとこっそり扉に足を向ける。
「ここにいたのか腰抜けぇ!!」
「うわっ」
いきなり扉が開いたと思えば、
「あ、おかっぱさん」
「だれがおかっぱだ!!」
やば、なんかすっごく怒ってるかも。
「おかしくなったお前のために軍医を連れてきてやったんだからありがたく思え!!」
確かに怒り狂う彼の後ろにはげほげほ息を切らしている白衣の人がいた。
どうやら無理矢理引っ張ってきたらしい。
でもどちらかというと僕よりも、
「おかっぱさんの血圧のほうを測ってもらったほうがいいんじゃないかな」
「なにー!!!!」
うわ、さらにやば。心の中で呟いていたつもりがいつの間にか口に出ていたらしい。
シャー!!と牙をむいたおかっぱさんを置いて、僕は一目散にブリッジから逃げ出すことに成功した。
「あ、ここは・・・・・」
逃げ出したはいいけど、アスランの部屋がわからなくなって歩き回っているうちに僕はMSの格納庫にたどり着いた。
そこにはフェイズシフトがダウンして、生白くなっているイージスがある。
周りには忙しそうに作業をしている整備員の人たちが動き回っている。
「いまさらだけど、ここにいる人たちって皆コーディネーターなんだよね・・・・」
ぽつりと当たり前のことをつぶやく。
本当は、僕はここにいる立場だった。
もしかしたら今、アスランと仲良く一緒にイージスを整備していたかもしれない。
でも、僕の居場所はここじゃない。
どんなにアスランに説得されても。
どんなに陰でひどいことを言われても。
やっぱりAAの皆が好きだから。
絶対に守ってみせるって決めたから。
ごめん・・・・アスラン。
ぎゅっと自分の腕で自分の体を抱く。
今は自分の腕だけど、本当はアスランの腕だから、少しだけアスランに抱きしめられているような気持ちになってもいいよね?
「よっし、がんばろう!!」
元気になった僕は、はりきってイージスの近くに置いてあった整備用のタラップに上り、コクピットに座る。
機体のほうは整備員の人たちがやってくれてるけど、やっぱりOSの調整は自分がやったほうがいいだろう。
「あ、やっぱりコクピットはストライクと同じなんだ」
僕はキーボードを引き出し、OSを起動させる。
「んー・・・・・」
さすがはアスラン。見事に調整してある。
「でもこの制御モジュールの値を0.5下げて、すると加速ブースターの限界値がさらに上げられるから、」
うっわ楽しい(喜)
ストライクのOSはもう限界ってぐらい改造済みでちょっとした調整ぐらいしかやることないけど、まだイージスは改良の余地がある。
(それにアスランなら別に大丈夫だよねー?)
僕はそう思って暇を持て余して作った違法改造データを組み込んでいく。
そう・・・ストライクには乗せてない試作段階のプログラム。
これを組み込めば反応はもっと早くなり、加速値も格段にアップする。
もっともそれに伴うGもきつくなるけど。ま、いっか。
本当のところ、こうやってイージスを整備したりするのってバジルール少尉から
『敵のMSを整備するなど、何事か!!』
って言われそうだけど、でもやっぱりアスランの乗る機体だから。
こうやって微々たることだけど、これでアスランが無事に生き残る確立があがるなら。
僕は無事にOSの調整が終わったことを確認し、プロテクトをかけてから、ぎゅっと背中を伸ばす。
ふと、下のほうで一人の整備員さんにちょっとしたトラブルが起こっているのが見えた。
「僕やりますか?」
「え?」
イージスから降りた僕は戸惑う整備員さんからキーボードを受け取り、カタカタとプログラムを再構築していく。
「はい、どうぞ」
にっこり笑って整備員さんにキーボードを返す。
「あ、ありがとうございます!」
そう言って整備員さんは嬉しそうに笑って次の作業に入っていった。
「おい、アスラン!!」
あ、アスラン呼ばれてるよ・・・・って今は僕がアスランか。
振り向くとまたおかっぱさんが目くじらを立てて自分を呼んでいる。
彼の後ろにはニコール君(仮)とさっき倒れた黒い人が。
おかっぱさん、なんかさっきからずっと怒っている。カルシウム足りてるのかな?
でも良く考えると、やっぱり友達からおかっぱさんって呼ばれるのってやだよね?
だからきっと彼は怒っているんだろう。
もしかしたらアスランと彼は仲良しで、僕のせいで友情が壊れちゃうかもしれない。
そうなる前に謝っとかないと。
「あ、あの」
僕はトコトコと銀色の彼に近づき、彼を見上げる。いやだってほら彼のほうが5cmぐらい背高いし。
「なんだ」
不機嫌そうな彼の声。でもなんだか上ずって聞こえるのは気のせいですか?
「さっきはおかっぱさんって呼んでごめんなさい。ちょっと僕混乱してたから・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
そこまで言いかけて銀色の彼の視線が急に僕から逸らされた。
なんかこころなしか彼の顔が赤くなったような・・・
「わ、わかればいいんだっ」
「あ」
彼は身を翻し、後ろの二人を連れてすごい勢いで格納庫から出て行ってしまう。
取り残されたのは僕一人。
え、えーと『すいません』だと敬語で他人行儀っぽいからちょっとフレンドリーに『ごめんなさい』にしたんだけど。
やっぱり友達なんだから『ごめん』とかのほうが良かったかな?あと『メンゴ☆』とか☆
「・・・ま、いっか」
友情が壊れることもなく、アスランにいい事をしたなあ、と僕も晴れ晴れとした笑顔で格納庫を出ていった。
これらの僕の行動が、後のアスラン本人に甚大なる被害をもたらすということを知らずに。
続く
アスランのキラに対する態度と他のGパイロットに対する態度はあからさまに違いますって話。
つか、私普通に書いているけどごめんなさいって言ったりイザークを見上げたりしているのって表面上はザラでしたね。
皆様は「ごめんなさい」と言ったり爽やかに遅れたことを謝るザラを想像しながらお読みください。
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