「ほむ・・・らっ・・・!!」
明るい、夏の日差しが差し込む。
しかしその日差しはある所のみカーテンによって遮られていた。
「悟空・・・・・もっと声・・・出せよ」
ぎしぎしとべっどのスプリングが軋む。
その部屋では、長身の男と幼い子供が睦みあっていた。
長身の男・・・焔は自分の胸中で年では考えられない程の艶のある声で
喘ぐ悟空を、大事なものを扱うかのように優しく抱きしめ、さらに奥まで自身を進める。
「はあ・・・っ・・・も・・・イくっ・・・・・!!」
悟空のイイところを突かれ、宣言どおり悟空は一気に射精し、
焔も悟空の中に解き放った。
MEMORY
〜前奏曲〜
『たまには構ってやったらどうだ?』
三蔵は先程かかってきた単身赴任中の母親である観世音菩薩の言葉を心の中で反芻する。
確かに、最近悟空を構ってやっていない。
(・・・・それなら帰ってくるか仕送り増やせよな。)
三蔵は口の中で毒づきながらリビングで遊んでいる悟空を見つめていた。
悟空を引き取って5年が経つ。
彼の両親は交通事故により早くに亡くし、伯母である自分の母親に引き取られたのだ。
初めて会ったときは本当にちっちゃな幼児だったが、今はもう8歳。
いつのまにかあの時とは考えられないほど大きくなっていた。
悟空は画用紙にぐりぐりとクレヨンで何かを楽しげに描き殴っている。
遠くから見ると何を描いているか分らない。多分近くで見ても何か分らないだろう。
悟空が大きくなるにつれて、彼はその体のどこに入っているのだろうと思うぐらいの
食事をとるようになった。そのため、仕送りだけでは足りず、
高校生の三蔵はバイトに明け暮れ家を空けることが多くなり、
悟空はすっかり1人遊びがうまくなってしまったのだ。
そんな悟空をどうやって構えばよいのだろうか。
そんなことを考えているとふと、三蔵は悟空が埃まみれになっていることに気付いた。
「・・・・・・・・悟空。」
「ふえ?」
三蔵が呼ぶと、悟空は画用紙から顔を上げる。
近くに歩みより、悟空の顔をさらにじっと見ると、確かに薄汚れていた。
「正直に答えろ。今日はどこで遊んだ?」
「えーと・・・・」
悟空は答えにくそうに頬をかく。三蔵が静かに怒っていることを知っているのだ。
そして、観念したようにうつむきがちにそして三蔵を上目遣いで見ながら口を開いた。
「んっと、友達と一緒に学校の裏山行って木登りした・・・だけ。」
ちなみに木登り以外にも砂遊びなど三蔵が怒りそうな遊びもしていたが
黙っていることにする。
三蔵はしばらく黙って悟空の様子を見ていたが、怒っていてもしょうがないと思ったか
やがてふうと1つ溜息をつき、
「・・・・俺も一緒に入るからとっとと服脱いで洗濯に出しとけ。」
と、悟空を立たせて服を脱がした。
「いーち、にーい、さーん・・・・・」
バスルームに悟空が数を数える声が響く。
ちゃんと洗わないからと三蔵にどこもかしこも洗ってもらった悟空は
言われた通り肩まで湯に浸かり、数を数えていた。
その間に三蔵はてきぱきと身体を洗い、悟空が50数える頃には
悟空の横でのんびり浸かっていた。
「ななじうくー、はーちじゅー、」
だんだん数えることに飽きてきた悟空は湯から肩が出てきて
湯桶やおもちゃに手を伸ばす。
しかし、
「まだ出るんじゃねーよ。」
と、窘められる。三蔵は特に何も言わないがこういうふうに悟空と他愛の無いことを
して過ごすのが好きだった。
だが、それが何度か続いたとき、三蔵は湯船から覗き出た悟空の首筋に
焔が残したいくつもの紅い痕がついていることに気付く。
三蔵の血の気が一気に下がり、次の瞬間一気に頭に血が昇った。
いつもの冷静で何事に関しても無関心な三蔵は、その事実に対して、
初めて果てしない怒りを感じたのだ。
しかし、怒ろうにも相手がわからない。
「・・・・悟空、ちょっと聞いていいか?」
三蔵はなるべく悟空に自分の怒りを悟られないように静かに聞いた。
「俺がバイトしている間、いつも誰と遊んでいるんだ?」
「えーとねー・・・・」
少しのぼせ気味の悟空は特に深く考えず指を折りながらいつも遊ぶ友人らを
口で数えていく。
その友人らの名は何回か夕食時での悟空の話に出てきていた。
そして最後に、
「あとは隣の焔兄ちゃんかな。」
悟空は三蔵の核心を突いた人物の名前を挙げた。
(・・・・・チッ・・・・・。)
三蔵は心の中で忌々しそうに舌打ちをし、ぎりっと唇を噛む。
聞いた中でしそうなのは焔だが、まだ決まった訳ではない。
ふつふつと怒りで煮えあがる心をなんとか静めながら、三蔵はもう一度質問する。
「じゃあ、変なお兄さんとかに変なこととかされていないか?」
「変なお兄さん?されてないけど?」
何回か質問を変えて聞くが、断固として悟空はされていないと言い張る。
だが悟空の首筋に見え隠れするのはあきらかな意図をもってつけられた痕。
これを悟空が自分でつけたとでも言うならば三蔵は即刻暴れただろう。
「だから何で無いってばよっ!」
「ほーう、じゃあこの痕はどうしたんだ?」
口を割らない悟空に実際はかなり怒っていたが三蔵はからかうように
悟空の首筋をするりと撫でると、
「うひゃっ!!」
悟空はいきなりの三蔵の攻撃がよっぽどくすぐったかったのかばしゃんっ!!と
水音をたてて逃げる。
「いきなり何すんだよっ?」
慌てて三蔵の反対側にうつった悟空は首をおさえ、口を尖らせて文句を言った。
しかしその悟空のリアクションがよっぽど気に入ったのか少々怒りを忘れて三蔵は
くつくつと笑っている。
「こんなあからさまな痕つけてなにもないはないだろう?」
「ひーみーつっ!!」
何とか聞き出そうとする三蔵から悟空は逃げるように風呂場を飛び出していき、
残ったのは苦い顔をした三蔵だけであった。
三蔵がその現場を見たのは本当に偶然であった。
悟空と一緒に風呂に入った次の日、三蔵はバイトが早く終わりいつもより早く
帰路についていた。
帰り道、悟空がいつも遊んでいる公園が三蔵の視界に入る。
子供が遊んでいる声が聞こえる。
ふと、その声に混じって悟空の声が公園の中に聞こえたような気がした。
いるなら連れ帰って早めの夕食にしよう。
ただそれだけの理由だった。
三蔵はいつもの帰り道から公園へと足を向ける。
階段を上ると少しひらけた遊び場に出た。
遊び場を見回すがいつもの元気な姿がいない。
しばらくの間見回していたが、やはり見当たらず、
今日は違う所で遊んでいるのだろうかとあきらめてくるりと振り返った。
だがその時、視界の隅に何か信じられないものが見えた。
(悟空と・・・・・焔!?)
公園のちょっとした薄暗い木々の中、2人はいた。
傍目から見れば仲のいい兄弟か何かがじゃれあっているように見える。
それだけだったなら悟空が昨日言ったとおり、焔は友達だということがわかっただろう。
しかし三蔵は、遊んでいる子供達の声が離れたとき、小さい悟空に合わせて焔がかがんで
悟空に口づけをしているのを見てしまったのだ。
昨日の怒りがふつふつと蘇る。
三蔵は怒鳴り込み、2人を引き離す寸前で立ち止まった。
悟空と焔を引き離すよい方法を思いついたのだ。
だがそれをするには今帰らなければ出来ない。
三蔵は今何も出来ない自分にいらつきを秘めながら、公園をあとにしたのだった・・・。
トゥルルルルー・・・・
『はい。』
「おい、ババア。」
『・・・ババアはねえだろ。(怒)』
「んなこたどうでもいい。それよりも、頼みたいことがある。」
『なんだよ?』
「・・・この家を引き払って、あんたのところに俺と悟空を置いてくれ。」
続く
ひさしぶりの最遊記小説「MEMORY」でしたっ
最遊記のパラレルは初めてなんですけどどうでしょう?
それにしてもすごい設定だな・・・・
初めは三蔵の片親役を金蝉(笑)にしていたんですけど、
違う所で使ったほうがよいかということで急遽変えたわけです。
まだ全然この後の事を考えていないので、だらだらと書いていくです。