君が欲しくて

 

 

俺はその時、すっかり油断していた。

それは食料を探しに悟浄と森に入った時だった。

『あれ?悟浄何処に行ったんだよっ』

何か食料になるものは無いかと探していたら何時の間にかはぐれてしまっていた。

そして、それは起こった。

地面だと思って草むらに足を乗せたとき、

『え?うわぁぁぁぁああぁぁぁあ!!!』

そこは草がかぶさっていてわからなかったが穴・・・というより崖の延長みたいな

場所に思いっきり足を踏み入れてしまってそのまま崖に落ち

「どーすっかなー・・・・いつつつ・・・・」

今に至る。

清一色に追いかけられたみたく思いっきり足を捻っていてまったく立てない。

何となく空を見上げると嫌味なほど真っ青な空が広がっていた。

しばらく、ぽーっと見惚れていたけどずっとそうしている場合ではないから

何とか立ち上がろうとするけど、地面に足がついた瞬間背中に激痛が走った。

「つ・・・っ・・・・・!!」

足元がふらつき、がっ・・・!!と思わず土壁に手をあてる。

「登れなくは・・・・ないかな?」

骨が折れていないだけ前よりマシだろうとなんとか登ろうとした時、

「・・・・やめておけ、悟空。」

「うわぁっ!!??」

俺の後ろから聞き慣れた声がして、背中を引っ張られた。

俺は驚いて思わず手を離してしまい地面に尻餅をついてしまう。

「あにすんだよ、焔!!」

俺はそのまま自分の背中を引っ張ったやつを見上げ、睨みつける。

だけど奴・・・・焔は平然とした顔で俺を見下ろしていた。

「危ないから助けてやっただけだ。お前にあまりキズをつけられては困る。」

「何でお前が困るんだよ!!て言うかいちいち俺が困っているとき出てくんな!!」

俺はそう吐き捨てると焔を無視するように崖を見上げ、もう一度

登れそうな所を探す。さっき登った所が崩れてしまったからだ。

「悟空。」

「・・・・・・・なんだよ。」

無視しようとしたがさっきのように背中を引っ張られては困るので

焔に背中を向けたまま返事をする。

「俺の元へこい。」

「いやだ。」

俺は一瞬の迷いもなく答えた。

だが、焔は少しも慌てることなく

「・・・ならば俺は金蝉を殺そうと思う。」

「なっ・・・・!?」

とんでもない事を言い出した。

「なんでそこで三蔵が出て来るんだよっ!?」

俺は慌てて振り向くと薄笑いを浮かべた焔が立っている。

「お前が俺の元にこないのはきっと金蝉のせいだろう。それなら原因を消すだけだ。」

「そんなこと、俺がさせない!!」

俺は自分の足の痛みも忘れ、焔を正面に見据えて身構える。

「だがそんな痛めた足でどうやって金蝉を守るつもりだ?

それに・・・・・」

焔はいきなり自分の青龍刀を取り出し谷に向かって振り下ろすと衝撃が走り

目の前が真っ白になる。

「こんな所だったらいくらお前でも登れまい。」

視界がひらけたら、谷は崩れ何とか登れそうだった岩肌も

かなり難しい状態になっていた。

「にゃろう・・・・・・」

俺はぎりっ・・・と歯噛みし、焔を睨みつける。

「さあ、どうする?」

薄笑いを浮かべわざとらしく腕を組む焔。

俺には、選択する余地は無かった。

「・・・好きに、しろ。」

身構えた腕を力なく下ろす。

「では好きにさせてもらう。」

焔は余裕の表情ですたすたと俺に歩み寄ってくる。

「な、何する気だよっ?」

そのままぐいっと手をつかまれ引き寄せられる。

無理矢理あごを持ち上げられ視線が焔と合った。

(・・・・・殴られるっ!!)

ひゅっと手があげられ、そう思いぎゅっと目をつぶる。

だが実際は違った。

「ん・・・・っ・・・!?」

いきなり口に何かが押し当てられ息苦しさに目を開けると

(!!??)

焔の顔がいきなり目の前にあったんだ。

ていうか俺、焔にキスされてるっ!?

「むぅ・・・・っ・・・ん・・・!!」

慌てて俺は焔を押し返そうとするがびくともせず、それどころか

壁に押し付けられ身動きさえも出来ない。

口の中に舌が侵入してきて呼吸もままならくなり

だんだん頭の中が・・・ぼーっとしてきて、

いつのまにか俺は焔にしばらくの間されるがままとなっていた。

やっと離された時には俺は足腰が立たなくなり地面に座り込んでしまう。

「悟空・・・・・」

焔は座り込む俺の耳元で囁かれ身体がびくっと反応した。

「残念だが・・・今日はこれまでだ。」

「え?」

俺の額に軽いキスをして、それだけを言い残し焔は風に消えていった。

それと同時に

「バカ猿っ!!そこで何やってんだよ!?」

「・・・悟浄?」

上から、いつもの声が聞こえてきた。

何とか立ち上がり上を見上げると、悟浄の他に八戒も心配そうに

俺を見下ろしている。

「焔・・・・・・」

俺の中で、焔は特別な位置になることになった。

 

 

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