アマエタイトキ
「・・・・空、悟空、」
人目をはばかるように夜の闇に2つの影が重なっている。
だがそのうちの1人は、小さく相手の懐の中に収まっていた。
悟空と焔。
2人は自分達の仲間にばれないよう・・・ばれているかもしれないが・・・こうやって
夜に逢うようにしている。
もちろん、ばれたところでこの関係は変わらない。
それならそれで、そのまま連れ去ればよいと焔は思っている。
「・・・・困ったな。」
焔は、嬉しそうながらもそう呟いた。
悟空はいつものように逢った時に何を言うでもなく、焔の服の裾を引っ張って座らせた。
そして自分はというと、そのまま焔の胸の中に埋もれるように収まる。
しばらくすると・・・・寝息が聞こえてきた。
これにはさすがに焔は本気で困った。
焔は安心して眠っている悟空にもちろん悪戯など出来る訳もなく、風邪を引かないようにと
自分の羽織をかけてやっていた。
だが、そろそろ焔の理性も切れかかっている。
最愛の相手に、こんな無防備な所を見せられて我慢できるわけが無い。
ここまで我慢できたのもやはり悟空を愛する気持ちだからこそだろう。
しかし、どんなに揺らそうとも悟空はまったく起きる気配が無い。
(・・・・・・・・?)
ふと、悟空の背中を撫でていた焔はある疑問点に気付いた。
なんとなく、呼吸の仕方がぎこちない。
「・・・・悟空。」
落ち着いた声で彼を呼ぶとぴくっと悟空の身体が微妙に動く。
その動きによって焔は確信を持ち、するりとくすぐったがりの悟空の背中に手を這わす。
すると、寝ているはずの悟空の身体は手から逃げるように寝返りをうとうとした。
「起きているんだろう?」
その言葉に悟空の身体が止まる。
そう、悟空は只今焔の胸の中で狸寝入り中なのだ。
だが確かに10分前までは寝ていたのだが、悟空はいまだ寝た振りを続けている。
それもこれも・・・・
「・・・起きてるよ。」
観念したように悟空は先程の焔の問いにぽつりと答えた。
それでも離すまいと悟空は頭をぐりぐりと焔の胸・・・ほぼ腹だが・・・に押し付ける。
「一体どうしたんだ?」
焔は悟空の行動にふうとひとつ溜息をついた。
自分はただでさえヤバイというのに、頭をぐりぐりされてしまったら抑えがきかない。
だが悟空はそんなこと考えるはずも無い。
「別に・・・・・。」
「何でもないというわけではないだろう?いきなり抱きついてきて。」
「んー・・・・。」
悟空は諦めたように寝返りをし、焔の顔を見上げる。
そこにあるのは、青と金のオッドアイ。
焔の手が悟空の頬に触れる。
撫でられることをくすぐったそうに悟空は少し逃げた。
「たまにはいいじゃんよっ」
「?」
「・・・・・・甘えるぐらい。」
ぽつりと悟空はそれだけを言い、また顔をうずめてしまった。
「悟空・・・・。」
愛しそうに焔は悟空の耳元で囁く。
「たまにじゃなくて・・・・いつも、甘えてくれればいいのに。」と。
「そっ・・・・そんなこと出来ないじゃんよっ!!」
慌てて悟空は起き上がり、焔に唾を飛ばすように食ってかかった。
こころなしか、顔が赤いが夜の闇のおかげで焔は気付かない。
「なんでだ?」
「だって・・・焔と俺は、敵同・・・・」
悟空はそこまで言って言葉を止めた。いや、止められたと言うべきかもしれない。
「んっ・・・・・・・!!」
悟空に痛いほど抱きしめられ、噛みつかれるようなキスをされた。
「はぁ・・・・・ん・・・」
焔からのキスはどこか奪われるような感じがし、舌をからめとられ
どちらかわからない唾液が悟空の頬を伝う。
やっと唇を離してもらった時には悟空は激しく胸を上下させていた。
「なに・・・・すんだよ・・・・・」
悟空は焔の顔を見上げる。
その時に、焔の目が淋しそうだったことに気付いた。
「悟空・・・・・頼むから、俺とこうやって逢っている時はそんなことを言わないでくれ・・・」
焔の口から苦々しそうな声が聞こえる。
途端、悟空はそのことに気付いた。
そうだった、自分らにそんなことなど関係ないのだ。
「・・・ごめん・・・・。」
小さな声で悟空は謝る。
それを聞いた焔は小さく笑った。
「おまえが甘えたい時に甘えてくれればいいさ。」
「あ・・・・・・。」
焔は悟空の小さな身体を抱きかかえ直し、唇に軽いキスを落とす。
そして、2つの影はまた夜の静寂に包まれていった・・・・。
終わり
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