brother
鼻につく線香の匂い。ざわざわと自分を取り囲む話し声。
すべてが彼にとって嫌なものでしかない。
目の前には白い棺と微笑む母の顔写真。彼女が笑うことはもうない。
それほど多くない弔問客。これからの少年の処遇について話す親族がほとんどだ。
「・・・・・うちはだめですよ、子供が二人もいるのに・・・・・」
「・・・・あの厄介者は最期まで私らに迷惑かけていくんだから・・・・」
彼らは聞こえていないとでも思っているのだろうが、実際少年の耳にははっきり聞こえていた。
握られたこぶしが震える。少年はもう、1人なのだ。
あまり母の身の上を聞いた事がない。母が聞かれるのを嫌がっている事はそれとなくわかっていた。
ただ、一度だけ・・・・・
『・・・お母さんはね、もう家に帰れないの。』
そう、辛そうに話していたから。
そのため少年は今まで一度も親族に会ったことがなかった。
「・・・・・悟空も15歳ですし、少しの間ですから・・・・」
どうやら後ろの方で悟空と呼ばれた少年の処遇が決まったらしい。
悟空は頃合を見て後ろを振り向く。嫌そうに顔を歪める親戚達。
そして、彼はゆっくりと口を開いた。
「・・・俺、施設から学校に通うことにするから。」
薄汚れた壁。甲高い子供らの声。
悟空は言葉の通り施設にその身を置いていた。
実際施設に行くと言う言葉に反対もしない親戚の家に行くよりもよかったと思う。
ここでの集団生活も悪くない。
入った日に人と二、三話したが別になにかされるようなことはないみたいだ。
問題があるとすれば学校が遠いことと今後をどうするかということだ。
学校が遠いことは早起きをすればいい事だが、高校は微妙なところだ。
なにしろ切り詰めた生活をしていたため、自分が受け取った母の保険金など雀の涙ほどしかない。
(奨学金でもうけるかな。)
悟空は荷物の少ない部屋でぼんやりとそんなことを考えていた。
明日も学校。
担任はまだ来なくてもいいと言っていたがここでじっとしていたら色んなことを考えてしまいそうだった。学校に行ったほうがまだいい。あそこは何も考えずに勉強が出来るから。
「よっと・・・・・・。」
とりあえず明日の準備でもしようと軽い中身の鞄を机にあげる。
金目の物は全て処分してきたため、本当に必要最低限の物しか入っていない。
トントン
「はい?」
いきなり薄い扉をノックされ、悟空は面食らうがなんとか返事をする。
「悟空くん、ちょっといいかしら?」
顔を見せたのは施設の職員だった。彼女は何故か困惑したような顔をしている。
その表情に悟空はなにか不安を感じ取ったがとりあえず立ち上がった。
「俺を引き取りたいって?」
悟空はとある小部屋の前に連れてかれ、いきなりの展開におもわず素っ頓狂な声を上げる。
それもそのはず、自分の引き取りを希望したのは今の今まで存在すら知らなかった自分の腹違いの兄らしいのだ。
悟空の母は生前、全くそんなことなど言わなかったため、悟空はなんとなく疑わしい気分で
初老の女性職員の話を聞く。
「一応、身分を証明しているものを見せてもらったけど正真正銘あなたのお兄さんとは言えないわ。
この部屋で待っててもらっているから、とりあえず話を聞く?」
彼女は悟空に尋ねる。言葉裏で断ってもいいわよと含ませながら。
ここに来て、悟空は誰かに強制されたことはなかった。
そういう方針なのかここでは子供たちの判断にゆだねられることが多い。
それもこれも、ここでは悟空のように両親を亡くした子供のほかに、
虐待を受けて親から避難させる形できた子供たちもいる。
そのため子供たちの心の負担などを考え、無理矢理何かをさせられることはない。
それでも悟空は、こくりと無言で頷く。
葬式の場であれだけ親戚類に嫌味を言われつづけていた悟空だが、なんとなく会いたくなったのだ。
女性職員は体をどけ、扉の前を空ける。
悟空が扉を開けると、そこには意外にも若い男が座っていた。
「君のことが分かったのは親父が死んだ時だった。」
焔と名乗った男は悟空が向かい側の椅子に座ったら挨拶もそこそこに、
おもむろに話しだす。
「遺言でね。もし君のお母さんの身に何かあったら援助するようにと残されている。
それが親父にとって、唯一の・・・・罪滅ぼしみたいなもんだ。」
「罪滅ぼし?」
最後にぼそりと付け加えられた言葉に悟空は眉をひそめる。
しかし焔は言うつもりはないのか、肩をすくめるだけだ。
「・・・・ところで、君はこれからどうするんだ?
君には惜しみない援助を、と言われているからやりたいことをやればいい。」
焔は悟空の目を見つめ、ゆっくりとした口調で聞く。
その焔のオッドアイに見つめられて悟空は一瞬どきりとしたが、ゆっくりと息をはいて、
高校には行かないか、奨学金を使うということをなんとかしどろもどろ伝える。
金がかからないなら別に文句はないだろうと悟空は思っていたのだが、
悟空の話を聞いた途端、急に焔の顔が曇る。
「悟空・・・・・俺は先程、何と言った?」
「え?」
いきなりの呼び捨てと不機嫌そうな顔に悟空は驚き、思わず聞き返す。
「俺はやりたいことをやればいい、と言った。それなのに働く?奨学金?
援助を惜しまないと言ったんだからどこぞの私立に行きたいとか一人暮らしをしたいとか
好きなだけわがままを言えばいい。」
焔はそこまで言って急に押し黙る。
そんな態度に悟空は困惑した。
(どうすれっつーんだよ。)
そうは言われても悟空はずっと質素な生活をしていたため、いきなり援助をしてやるだの好きなことをしろだの言われてもまったく想像がつかない。
悟空がどう言おうかしどろもどろしているうちに、目を伏せていた焔が何かを決心したように
悟空の方へ向き直る。
「悟空、ここから出て、これからは俺の家に来てもらう。」
「・・・・・へ?」
いきなりの命令に悟空の目が丸くなる。今日は何回も驚かされる日だ。
「お前の荷物はどれくらいあるんだ?」
焔は無駄のない動作ですっと立ち上がり、時計を見ながら尋ねる。
「勉強道具と・・・身の周りのものが少しかな。」
「よし。なら今日からうちに来れるな。とっとと荷物を持ってこい。
俺は退館届けを出して引き取りの手続きをしてくるから玄関で待っていろ。」
「ちょ・・・・ちょっと待ってよ!!」
反論は許さないといっているように背を向けて、部屋を出ようとしていた焔を
悟空は慌てて声を上げて引き止める。
「いきなり来いだのなんだの言われたって俺わかんねぇよ!!
それにいくら俺があんたの親父の息子だからってさっきまで他人だった奴から
んな金なんかもらえないし!!」
焔の足が止まる。
「俺、行かないからなっ!!」
悟空はドアの前で立ち止まっている焔の背中に半ば意地になって叫んだ。
こんな傲慢で自分勝手な奴にほいほいとついていけるほど悟空は世間離れしていない。
すると、
「・・・・・・ならば、実力行使といこうか。」
くるりと振り返った焔の顔はどことなく楽しげな表情を浮かべている。
「な・・・・なんだよ。」
焔の尋常ではない雰囲気を読み取った悟空は思わずソファーから腰を浮かす。
かちゃり。
彼の後ろ手で閉められた鍵が無責任な音を出した。その音は悟空の不安を掻き立てるには
十分な雰囲気をかもし出している。
「邪魔が入ったら俺もお前も困るからな。」
焔はにやりと笑うとソファーに手をかけ、一気に乗り越える!
「うわぁっ!?」
ソファーを回り込んできたら反対側から逃げてやろうと思っていた悟空はその予想外の行動に
いきなり出鼻をくじかれ、思わず動きが止まってしまった。
そのチャンスを焔が見逃すはずがなく、素早く悟空をソファーの上に押さえ込み、
自分も彼の上に馬乗りになる。
「おいっ重いからどけ!!っていうか服を脱がすなーっ!!」
「い・や・だ。」
焔は暴れる悟空を大して気にする様子もなく、服のボタンを楽しげに取っていく。
いきなり引きちぎって胸をさらけ出すということも出来たのだが、
この後部屋を出て行くことを考えた場合、服がぼろぼろということは少々まずい。
まあ、こうやって順番に脱がしていくことも楽しいものだと焔は思った。
「何すっ・・・ん・・・・!!」
うるさい口はさっさと塞いでしまうに限る。
焔はキスで悟空を黙らせ、さらにとばかり舌を絡めとる。
口の端からどちらのものかわからない唾液が伝い落ちる。
(なにこれ・・・・っ・・・すげ・・・気持ちい・・・)
悟空の頭の中に靄がかかり、唇を離された後も自分に乗りかかっているのは男だとか、
今の自分の状況とかも全てどうでもよくなってきた。
「悟空・・・・・・」
耳元で囁かれる声は快感そのもので、悟空の体がびくりと跳ねる。
「はぁ・・・っ・・・やめ・・!!!」
ズボンを手際よく下着ごと脱がされてしまい、さらけだされて反応し、勃ち上がりかけた悟空のものは
外気に晒されてさらに持ち上がっていく。
「さっきまで他人だった俺にこうされて勃つなんて、結構淫乱だな?」
焔の嘲りにかっと赤くなった悟空は我を取り戻し、また抵抗を始める。
「俺にさわんな!!」
「無駄だな。」
が、基礎的な体力も筋肉も焔のほうが何枚も上手だった。
どんなに押そうが暴れようがのしかかる焔の体はびくともしない。
「まあ大人しくしておけ。今日のところは気持ち良くさせるだけだから。」
焔はにやりと笑うと顔を、ひん剥きあらわになった悟空の下腹部に近づける。
「・・・・っな!!??」
何をするのかと下を向いたのはいけなかった。
悟空はちょうど、自分の勃ちあがったものを口の中に含む焔の姿を見てしまったのだから。
「やめろよ・・・っ・・汚・・・っ・・!!」
「汚くないさ。うまいぞ?」
焔は口をすぼめたり、先端の穴に舌を差し入れたりとせっせと悟空に奉仕をする。
ちらりと見上げると、悟空が両手で顔を隠しながらもその指の隙間から顔を真っ赤にしているのが見える。
悟空の表情に焔は満足し、唇でしごきあげラストスパートをかける。
「ひ、あ・・・・ああっ!!」
その強烈な刺激に、悟空は白い飛沫を吹き上げ、そのまま意識は闇に沈んでいった・・・・。
続く
リクエスト小説「brother」でしたっ・・・って続いてるーー!!??<死
いや・・・リクエストでは焔空パラレル(H有り)と言われたので、3つほど考えました。が。
・ヤクザもの 焔ヤクザ。人身売買で悟空を買ってほだされる。
→かなりハードになる上にヤクザものは好みが分かれるから没。
・中世もの 悟空追われる王子。焔元家臣。
→どうやってHを入れるか謎だったので没。
・兄弟もの 上記の通り。
→話が長くなる可能性大。ていうか長くなった。
これらは実際書いてみたやつで他にもプロットだけ考えたのがたくさん。で結局兄弟もの選びました。
これで良かったんですかMAYUKI様っ!?
上記のやつが読みたいという奇特な方がいらっしゃったらお知らせくださいv
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