メリクリ!

 

 

 

12月24日。世の中はクリスマスムードに包まれ、ホワイトイルミネーションの光が

町を埋め尽くす。恋人たちは幸せそうに身を寄せ合い、家族たちは手にプレゼントを持って

家路につく。

そんな中、一人の少年が明かりを消された図書館から本を片手にゆっくりと繁華街のほうへ

歩いていくのが見えた。

クラウド・ストライフ。

彼にとってクリスマスは無縁なものに過ぎなかった。

少年時代、ニブルヘイムにクリスマスを祝うという習慣は一応あった。

しかしあったとしても、それは裕福な家庭だけが内輪のパーティを行っていただけで

クラウドにはまったく関係の無い行事だ。

街の中心部に近づくにつれ、人々の波はどんどん大きくなり、一人、

自分だけが浮いているような感覚がヒシヒシと強くなる。

小さい頃はそれなりに子供らしくクリスマスを祝いたい、街で楽しく過ごしてみたいという

気持ちもあったのだが、今はほとんどない。

それどころか、浮かれる人々を冷ややかに上から見下ろしているような、そんな気がする。

街の中心部をゆっくりを通り、新羅の関連地域へ向かって歩く。

どうせ明日から年明けまで緊急事態が起こらなければ休日だ。

里帰りするわけではないので自主トレに励むことになるだろう。

クラウドは一人年末年始の予定を立て、降り積もる雪から逃げるように足をはやめた。

 

 

 

 

兵舎のあたりまで行ったら人の姿もちらほらとなり、クリスマスの独特な雰囲気も薄れてくる。

ほとんど里帰りや街へ出掛けていったのか、兵舎はシン...と静まり返っている。

頭の雪を払い、靴の雪を落とす。

少々ダボついている支給のコートを脱いでやっとひとごこちついたのか、ため息を吐く。

ふと、クラウドはあの陽気な彼を酒に誘おうかと考える。が、すぐやめた。

あのお祭り好きがこんなイベントの日を見逃す筈が無い。

とっくに彼は街で遊びまわっていることだろう。

それともあの無口な上司を誘おうか。彼にたかればタダ酒だ。

だがやはりやめた。二人になれば仕事の話か、黙り込むか。

休みの日まで使って気まずい思いはしたくない。

そう思って、クラウドは独りで静かに過ごすことに決めた。

独りなら誰に気兼ねすることも無い。

図書館からも大量に本を借りてきたことだし、そうしているほうが性に合う。

とりあえず空腹を満たすべく食堂へ向かう。

まかないの人たちはいないが、食堂へ行けば何かかにか食べられるものぐらいあるだろう。

すると。

(・・・・・人の声?)

食堂に近づくにつれ、大勢の人の声が聞こえてきた。

どうやら食堂にたくさんの人がいるらしい。

クラウドが少しためらいながらドアを開けると、

「おうクラウド!遅いじゃねーかっ!!」

そこにはクラウドが知っている顔ぶれがそろっていた。

ザックスはもちろん、里帰りをしていると思っていたルームメイトや同じ部隊の仲間たち、

そして意外にもセフィロスもいた。

どうやら彼は無理矢理つれてこられたらしく、隅でチビチビと酒を舐めている。

食堂は人と、酒と、申し訳程度においてある料理の載ったテーブルであふれかえっていた。

いたる所で笑い声が上がり、時々何の脈略も無く「メリークリスマス!!」と掛け声が上がる。

「クラウド!早く飲もうぜ!!」

唖然としていたクラウドの手をザックスが引っ張っていく。

部屋の中央まで引っ張られながら、クラウドは思った。

こういうクリスマスも悪くない、と。

 

「メリー・・・クリスマス。」

 

 

 
 クリスマス小説「メリクリ!」でしたっ。
これの他にも封神とか色々考えていたけど1個で精一杯(汗)
 クラウド最後の一言しかしゃべってません。そのつもりで書いていたら気づけば
旦那しゃべってませんね。プロットの時点ではもっとセフィロス出張っていたし、
紙に書いていたときにももっと続きがあったんだけどもう限界。死亡。

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