太公望さんちの事情
その日、太公望にとって最高に最悪だったに違いない。
「やめ・・・ろ・・・・・・!こんな所でこんな事をするなどっ・・・!!」
「誰も来ませんよ…。鍵もかけておきましたから。」
何といったって
「あなたがいけないのですよ・・・・・・?
あなたがあまりにもかわいすぎるから・・・・・・。」
「だぁほっ!!わしは男だっつーの!!おぬしの目は節穴か!?」
「知っていますよそんなこと。」
女の格好で男に襲われているのだから。
*
『崑崙学園の学園祭に行ってみない?』
太公望は2日前、幼なじみの普賢に大学の学園祭に行こうと誘われた。
太公望は2つ返事でOKする。
何故なら彼は来年そこの大学を受けようと思っていたのだ。
そして当日・・・・・・
「何故にいきなりはぐれるのだー!?」
いきなりはぐれた。
太公望は人の入り混じる中、人目を忘れて思いっきり叫ぶ。
「ったく、今日普賢携帯持ってきているかのう?」
自分の携帯を取りだし慣れた手つきでいつもの番号を押す。
呼び出し音が繰り返された。
それが5回ほど鳴った後、
『はいっ』
やっと普賢が出てくる。
「普賢っ!今おぬしどこにおるのだ!?」
『ごめん望ちゃんっ今手が離せないの!』
「だからどこにおるのだ!?」
『今校内の科学実験コーナーで実験してて・・・・・・!!』
ブツッ ツーツー
「おい普賢っ普賢っ!!(汗)」
何かトラブルがあったのかそれとも珍しい反応でもあったのか
いきなり電話が切れた。
その後、いくら電話をかけても出ないので
太公望は結局伝言を入れてそこらをふらつくことにした。
*
楊ゼンは毎年の事だが、この日は憂鬱だった。
学園中の男女がこの日を特別な日と称してハイになって
『カッコイイカレシ・カワイイカノジョ』をゲットしようと躍起になる。
しかし、あまりそういうことに興味のない『カッコイイカレ(フリー)』
代表格である楊ゼンにとってはた迷惑なだけであった。
「楊ゼンさん、あの子結構かわいいさねっ」
隣で天化が好みの女の子を見つけて興奮している。
しかし、楊ゼンは
「じゃ声でもかけてくれば?」
と、素っ気無く答える。
だが天化は楊ゼンの態度もいつもの事と気にせず、さっそく声をかけに
いそいそと楊ゼンから離れていった。
実はナンパする時、楊ゼンがいては困るのだ。
好みの女の子が自分ではなく彼に惚れる事が多々あったため
ナンパに興味のない楊ゼンは遠くから眺めていることにしている。
無事カップルが成立したらそこで2人は単独行動と暗黙の了解があった。
(あの様子だったら単独行動かな……?)
天化と話している彼女はまんざらでもなさそうだ。
楊ゼンは溜息をつき、周りを見まわす。
(あれは………)
するとふらふらあちこち見ながら歩く太公望を発見した。
(かわいい………)
楊ゼンは太公望の姿に目を奪われる。
きれいな黒髪・・・しなやかで抱きしめたら壊れそうな小さな身体・・・
自分好みの整った顔・・・白い肌・・・・・・・・・
太公望は光栄にも(?)楊ゼンの気を引くことに成功した。
無論、太公望自身は全然意識もしていないが。
楊ゼンはどうやって彼とお近づきになれるか考える。
しばらく眺めていると楊ゼンお気に入りの彼は道に迷っているようだ。
(・・・確か今日は・・・・・・・・・。)
楊ゼンはいいことでも思いついたらしくにやりと笑う。
そして思いついたら即行動とばかりに楊ゼンはキョロキョロしている
太公望へ声をかけるため歩み寄った。
*
(校内の化学実験コーナー・・・・・・ねぇ・・・・・・。)
太公望はあらかた見尽くし飽きてきたので
普賢を迎えに行こうと学校を探していた。
実は崑崙学園は無駄に広い。
国立だからと言うのもあるだろうがこんなに広くてでかい
物を作る金があるのならもっとこう福祉とかそういう役に立つものに
使えばいいとまで太公望は感じていた。
「どうしたものかのぅ・・・・・・?」
どうしても学校が見つからない。
いや、見つけてはいるのだが障害物があって避けているうちに
いつのまにか全然違う方向に進んでいるのだ。
太公望は困ってうろうろしていると
「どうしたのですか?」
優しく声をかけられ後ろを振り向く。
声をかけたのは自分よりちょっと年上の、蒼い髪の青年だった。
(・・・・・・大学生・・・・・・?)
「校舎のほうへ行きたいのだがどうも道がわからないのだ。」
自分が迷っていることを素直に話す。
すると蒼い髪の彼はにっこり笑い
「いいですよ。連れて行ってあげます。」
と、太公望の手を取った。
しかし、太公望はそこまでされては悪いとばかりに
「あ・・・・・・いや、道を教えてくれるだけでいいのだが・・・。」
断ったが
「ここら辺は入り組んでいますから迷いやすいですよ。」
と、諭されてしまう。
ここで彼の手を振り払わなかった事で太公望は人生最大級の後悔をする事になった。
*
「で・・・なんでわしはこんなことになっているのかのう?」
気が付けば、太公望は女装をさせられていた。
しかもその服はなんと言うか・・・かなりマニアックな部類に入るセーラー服。
楊ゼンと名乗った男は太公望を見つめ、にこにこ笑いながら
「そんな・・・かわいいですよ?」
「そんなこと聞いとらん!!(怒)」
太公望はとんちんかんな答えを返す楊ゼンに食って掛かろうとするが
まだ化粧が終わっていないので(笑)係りの女子大生に止められる。
周りからのかわいいと飛び交う女子大生の黄色い声から
太公望もなかなかの人気だ。
「なんでまたわしがこんなことを・・・(怒)」
鏡に映った自分の姿を見てふつふつと怒りがこみ上げる。
それは今から30分前に起きた。
楊ゼンが太公望の手を握り、人の行き交う道を堂々と歩いていた時だ。
『の、のう。まだ着かんのか?(汗)』
太公望は歩いても歩いても学校が影も形も見えないので不安になってきた。
『もう少しですよ。』
するとその時、イベント会場の前でいきなり楊ゼンの足が止まる。
ちょうど毎年恒例女装コンテストなるものを開催していたのだ。
太公望は不思議に思い自分の手をがっちり掴む手を引っ張ると楊ゼンは一言だけ言った。
『・・・・・・出ましょうかvv』
『はあ?』
するとあれよあれよと言う前に太公望はイベント会場に連れこまれ、
楊ゼンが勝手にさっさと受付を済ませてしまい今に至るという訳だ。
「毎年一般参加がいなくて困っていたのです。
飛び入りがいると面白くなるでしょう?」
「わしは面白くないわい。」
太公望はジト目で睨むが楊ゼンはまったく意に介さない。
「なぜわしがこんな女の格好で大衆の目にさらされなければいけないのだ。
もー帰る。」
「だめですよ。ほら、もう出番みたいですし。」
「な、何ぃ?」
楊ゼンに言われ周りを見回した時、太公望は係りの生徒に逃すまいと
がっちり両脇を固められた。
「楊ゼンのダアホーーーーーーー!!!」
そのまま麗しの彼は恨みの言葉を叫びながら引き摺られていったのだった。
そして・・・・・・
「さて、と・・・・・・。」
太公望を見送った楊ゼンは自分のカバンからおもむろにカメラを取り出した。
*
女装コンテスト・・・・・・
この行事は崑崙学園の設立以来、ずっと続いている伝統の行事だ。
各学部から生贄3人を出すことになっている。
女と見間違われるような白皙の美青年を出して目の保養にしようとか
逆に女とはまったく正反対の漢(おとこ)を出して
皆で笑ってやろうとか、いろんな思惑が飛び交うこのイベントだが
ここ数年一般参加が皆無となっている。
最初は受け狙いだとか一般参加者優勝の特別賞品の
『崑崙学園特別推薦書』があったことからそれなりに参加者がいたのだが
特別推薦書が賞品から消えたことからぷっつりと飛び入りがいなくなってしまった。
それ以来、身内受けみたいな感じでそれとなく続いていた
女装コンテストだったが、今年は違う。
なんといったってとびきりの美少年がエントリーしたのだ。
妙に似合うセーラー服を身にまとった太公望だ。
ステージに引っ張り出された太公望はこんな大観衆の中、
彼はこんな姿でいると思うと
(は・・・恥ずかしいっ・・・!!)
顔は燃えるように赤くなり縮こまってしまう。
だが、そんな様子の太公望は
どおおおおっ!!!!
『かわいいです!!飛び入り参加の太公望さんっ!!!』
かなり受けたのだこれが(笑)
司会の学生もかなり興奮しているのか太公望を褒めちぎる。
結局、他の参加者は日の目を見ることなく
太公望の一人勝ちとなった。
(早く帰りたい・・・・・・(泣))
やはり本人には自覚はなかったが。
*
「おかえりなさいvv」
観衆にもみくちゃにされヘロヘロになって更衣室に帰ってきた太公望を
待っていたのは優雅にお茶(烏龍茶)を飲む楊ゼンであった。
そんな楊ゼンを見た太公望は一気に頭に血が上る。
「なんなのだ一体わしにこんな格好をさせておいてっ!!(怒)」
太公望は楊ゼンに食って掛かるが当人は何ともないように
「優勝できたからいいじゃないですか。それに可愛かったですよ?」
と、片目をつぶる。
太公望はその一言で勢いをそがれぶつぶつ文句を言うしかなくなってしまった。
すると楊ゼンは口をとがらせる太公望の横をすり抜けドアに向かい、鍵をかける。
「・・・・・・・・・?」
太公望は楊ゼンの行動を少し不思議に思いながらも
自分が着替えるからかなと自分を納得させ楊ゼンに背を向けた。
だが、それがいけなかった。
着替えようと着慣れない服をたくし上げた時、
トンッ
「・・・およ?」
誰かに押され太公望はバランスを崩してしまいちょうどよい具合に
椅子に倒れこんでしまう。
誰かといっても、犯人は一人しかいない。
更衣室には太公望のほかに彼一人しかいないのだから。
「な・・・・・・!?」
『何をする』と言いかけた太公望の口がいきなり塞がれてしまう。
太公望の目の前に楊ゼンがいっぱいにうつった。
つまり、太公望はキスされているのだ。
あまりの出来事に頭の中が真っ白になり力が抜ける。
楊ゼンはこれ幸いと太公望の口の中に舌を侵入させ、
口腔を蹂躙しようとしたとき、やっと太公望の意識が戻った。
(@#&@−^%=“!?)
ただし、混乱はしていたが。
それもそのはず、自分がいきなり男にキスをされているのだ。
混乱しないほうがおかしい。
自分の唇が楊ゼンに色々角度を変えて吸われる。
とりあえず抵抗しようと楊ゼンを押しのけようとするが
思っているより力が入らなくて、太公望の唇を吸う楊ゼンの手に
からめとられてしまい、何も出来なくなってしまう。
太公望はなんとか唇を放し、逃げようと離れようとした。
「ななな何をする!?」
しかし楊ゼンは
「何って・・・キスに決まっているじゃないですか。」
逃げようとする太公望の体をがっちり捕らえ平然と答えるじゃないか。
「決まっているじゃないですか、じゃないっ!
何でそんなことするのだ!?」
すると楊ゼンはさも当然のようにさらりと
「あなたが、好きですから。」
自分が太公望に抱く感情を告白した。
「・・・・・・・へ?」
楊ゼンのあまりのストレートな答えに一瞬太公望の抵抗する
力が抜けてしまう。
確かに太公望は見かけから女の子に告白されたこともあった。
しかし今日会ったばかりの男にこんな事を言われるなど、
思ってもいなかったのだ。
その隙を見てそのまま太公望は押し倒されてしまう。
楊ゼンの手がするりと太公望の衣服を潜り抜け、
太公望の肌をなめるように撫でた。
「や・・・・・・っ・・・!!」
その、なれない感覚に思わず声があがる。
「セーラー服を脱がすのって・・・興奮するな。」
楊ゼンは調子に乗ってさらに愛撫を加えながら太公望の衣服を
剥ぎ取っていく。
太公望は何とか抵抗しようとするが楊ゼンの巧みな
愛撫によって力が入らない。
あっという間もなく太公望は一糸まとわぬ姿になっていた。
「やめ・・・ろ・・・っ・・・こんな所でこんな事をするなど・・・っ・・・」
太公望は熱くなった自分をなるべく意識しないように努める。
「誰も来ませんよ・・・鍵もかけましたから・・・・・・。」
しかし楊ゼンが太公望の耳元であまりにも低く、艶のある声で囁くと
太公望の背筋にビビッと衝撃が走る。
そのまま楊ゼンは下のほうへ移動し起ち上がっている胸の飾りに
舌を這わせ、刺激すると
「ん・・・っ・・・・・・」
太公望は声を出しそうになるが唇を噛み必死に耐える。
「声、出してもいいですよ?」
楊ゼンは自分の言葉の通り乳首を甘噛みして声を引き出そうとした。
しかし、太公望は
「そんな・・・の・・・・・っ・・・・出来ぬ・・・っ」
何とか楊ゼンに逆らおうとするがその声はもう擦れ、
『自分は感じています。』と、言っているも同然だ。
その声を聞き楊ゼンは太公望の腹部を撫でながら
太公望の勃ちあがっているものに触れ・・・・・・
(・・・・・・・・・・・・・・・!?)
太公望が少し身を起こし見た光景は信じられないものだった。
青い頭が自分の股に割り込み、自分の勃ちあがっているものを
口に含もうとしていたのだ。
「や、やめ・・・・・・っっ・・・・・!!」
何とか止めようと青い髪を掴む。
楊ゼンは太公望の制止の声も聞かず、ためらいもなしにそれを
口にくわえた。
「はぁ・・・・・・・っ・・・!!」
自分を口の粘膜で刺激され一気に登りつめそうになるが
まだ太公望は経験が浅いためそうすることが出来ない。
そんな様子の太公望を見て楊ゼンはさらに敏感なところを嘗め、
開放を促す。
何とか我慢しようとこぶしを握り締めるがそれでも耐え切れず、
「んんっ・・・・!!」
楊ゼンの口内に吐き出してしまった。
*
「・・・・変態・・・・。」
太公望はポツリと漏らす。
明るかった空もすっかり暗くなり学園祭ももう、終盤に近づいていた。
「ちゃんと途中で止めてあげたじゃないですか。」
「うるさい黙れ死ね。」
あのあと、挿入を試みられたがそこは固くしぼまっていて
体もがちがちに緊張してしまい指一本入らないうえ、
あまりの痛みと異物感で太公望が泣き出してしまったため
結局中断という形になってしまった。
まあ散々口や手でイかされ続けたが。
「とにかくもうわしは帰る。」
「送っていってあげますよ。」
楊ゼンは車のキーを取り出す。だが太公望は露骨に嫌な顔をして
「いらぬ。自分の足で帰る。」
と、楊ゼンの手を振り払い、立ち上がろうとする。
「ぬおっ!?」
しかし力が入らず崩れ落ちてしまった。
「ほら、立てないでしょう?」
楊ゼンは勝ち誇ったように手を差し出す。
「嫌じゃっ!!」
だが太公望は意地でも楊ゼンの世話になりたくないのか
何とか逃げようとする。
しかし力の抜けきった下半身が邪魔をして簡単に捕まってしまった。
「ほら僕につかまってください。車まで肩を貸しますから。」
「うるさいうるさいっ!だれが強姦魔の世話になるかっ!!
それに友達がいるから行けるかっ!!」
「・・・・ああ、そんなことも言っていましたね。そう言えば。」
楊ゼンは不服そうに口を尖らせる。
(何を企んでたんだか・・・・・・。)
その楊ゼンを太公望はジト目で睨みながら自分の携帯を
取り出すと、普賢からメールが入っていることに気づいた。
『なんだか珍しい反応起こっちゃって教授に説明することになったから
先に帰っててねv
by普賢』
「・・・・・・・・・・・・えーと・・・。」
「問題なしですね(喜)」
画面を見て冷や汗をたらす太公望の後ろから画面を覗き込んでいた
楊ゼンはしてやったりという表情で太公望の腰を捕らえ
そのまま持ち上げてしまった。
「離せ離せっ!!嫌じゃ恥ずかしいっ!!!(////////)」
肩に担ぎ上げられた太公望はなんとか逃げ出そうと足をジタバタさせる。
「さー行きましょうvv」
しかし、楊ゼンは気にせずスタスタと更衣室を後にし、
自分の車のある駐車場へと向かった。
*
「意外と近いですね。」
「・・・・・・・・・何が。」
「あなたの家と僕の親戚の家。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
太公望は車の後部座席でふてくされていた。
なんとか乗るまいと抵抗したのだが耳元で
『おとなしく乗らないと・・・ここで無理やりヤっちゃいますよ?』
と囁かれてしまった太公望には選択権はないに等しい。
結局自分の家の前まで送ってもらうことになり自分のうちの
住所を教えてしまう。
「それにしても・・・・本当に近いなぁ・・・・・・。」
ぶつぶつと楊ゼンは場所を確認しながら呟いた。
(早く帰りたい・・・・・・・・。)
そんな楊ゼンを尻目に太公望は大きなため息をつく。
まあこれでこの変態と離れられる。
太公望はそう思っていた。
だがそれほど現実は甘くはなかったのだ。
*
太公望の家の前に車が止まり、扉が開くや否や復活した太公望は
飛び出すように車から出る。
「ここは・・・・・・・。」
楊ゼンも何故か車を出てばたばたと玄関に駆け込む太公望の後に続いた。
「ただいま母さんっ!!」
実は門限をとっくに過ぎていたのだ。
しかし玄関で母親は待っていなく、太公望はほっと胸をなでおろす。
どうやら怒っていなさそうだ。
今に入ろうとするとふと、立ち止まる。
太公望は額に怒筋をたて後ろを振り向くと、それはいた。
「・・・何故におぬしがわしの家に入ってくるのだ!?」
そう、太公望が玄関に入った後に楊ゼンも一緒に入ってきたのだ。
「いいじゃないですか。僕とあなたの関係でしょうvv」
楊ゼンは太公望の心情が読めないのか、キレ気味の太公望に平気で抱きつく。
・・・・・・ぷちっ
そして、抱きついたついでに首筋に唇をあて、悪戯を試みた楊ゼンに
太公望の何かが切れた。
「やめんかこの色ボケ変態男っ!!(怒)」
太公望は擦り寄ってくる楊ゼンの顔をなりふりかまわず両手で力いっぱい押し戻す。
「あっ、ひどいなあ色ボケ変態男なんて。」
だが楊ゼンはかなり慣れているのか慌てず騒がずするりと太公望の手をすり抜け
さらにぎゅーっと太公望を抱きしめた。
「苦しいからやめんかいっ!!」
太公望は楊ゼンの頬をなんとかつねろうと手を伸ばした時だった。
「何玄関で騒いでるの!」
太公望に救いの手が差し伸べられる。母だ。
母の出現に少し緩まった楊ゼンの腕を太公望は抜け出し距離をとる。
「母さん不法侵入者だから通報!!」
太公望は勝利を確信した。
が。
「あら楊ゼン君じゃないの。」
「こんばんは伯母さん。」
「・・・・・・へ?」
気軽に挨拶する楊ゼンとにこやかに笑う母の間で太公望の目が点になる。
「そういえば望は会った事なかったわね。従兄の楊ゼン君よ。」
太公望の視界は母のその一言で真っ暗となった。
続
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