Wait
楊ゼンが少し仙人界に戻ると言い出した。
「調べ物もありますし、たまには玉鼎真人師匠に顔を見せませんと。」
どうやら2・3日かかるらしい。
「そんなに時間はかかりませんから。すぐ戻ってきます。」
楊ゼンと夜を過ごすようになってから初めて一人になる。
「本当は可愛い師叔を置いていくのは気が引けるのですが、我慢してくださいね。」
そうか、とわしは平静を保っているふりをした。
「そんな意固地にならなくても、ちゃんと戻ってきますから〜〜。」
だが・・・・・
*
「さぁ〜て、仕事でもするかのう。ぬ?そういえば楊ゼンはどこへ行ったのだ?」
「何言ってるさ、スース。楊ゼンさんなら仙人界に戻っているさ。」
「・・・・おお、そうだったのう。疲れてわしもボケたか。」
いつもスースはボケているさ、と天化に笑われた。
わしは夕食時に、辺りを見ました。
「いつもこの時間帯に引っ付いてくるやつがおらぬ・・・・・?」
独り言をもらし食堂を見まわしていると、姫発が
「楊ゼンのやつは確か出かけているんじゃなかったっけ。」
と声をかけてくる。
「ああ、そうであったな。」
と返しておいた。
わしは一体どうしたのだ?
別にわしはあの日、楊ゼンがいなくても平気だと思っていた。
だが、いなくなってみるとどうだ?
わしの取り乱しようは・・・・・。
表面上では何とか平静を保っている。
しかし、夜が近づいてくるとどうもダメになる。
おかしい。
わしはいつから楊ゼンがいないと自分が保てなくなったのだ?
*
「よく帰ってきたな、楊ゼン。」
僕が帰ってきたときに師匠は入り口で待っていてくれた。
「今日はどうしたのだ?めったに帰りたがらないくせに。」
と、師匠がにこやかに笑う。
「調べ物がありましたし、たまには顔も見せないと。それに・・・・。」
「それに?」
「たまには僕の想い人をじらしてみようと思いまして。」
*
楊ゼンが出かけてから3日ほど経った。
やっと帰ってくるのか・・・・・。
いなくなってからあまり寝た気がしなかった。
いつも転がったり、目を閉じているだけのような感じだった。
「そろそろ帰ってくるさね、スース。」
仕事をしていると天化が声をかけてくる。
「誰がだ?」
わしは一応、素っ気ない科白をはく。興味がないなんてばれているくせに・・・・。
「誰がって・・・・楊ゼンさんさ。この3日間スースはいつも二言目には
楊ゼンさんの名前が出ていたのに、そんなとぼけたふりしてもだめさ。バレバレってやつ。」
「まぁ楊ゼンがいないと困るからのう、仕事もはかどらぬ。」
「本当に仕事だけさ?困るのは。」
「・・・・天化・・・・。」
天化はわしの険悪な雰囲気を感じ取ったのか慌てて、
「ま、まあ俺ッちの勘違いってとこで…。」
と言ってそそくさとわしの部屋から出ていった。
でも確かに天化の言うとおりであった。
落ちつかない。
楊ゼンに抱かれているときは痛いし、鬱陶しいし、恥ずかしいし、楊ゼンは調子に乗るし…。
あまりいい所がなく、わしはこの行為が好きではなかったはずだ。
だが、楊ゼンに
『愛していますよ…師叔…。』
『いつもあなただけを見ています…。』
『好きですよ。師叔の全てがね。』
好きと言われるのは悪くなかった。
価値のない自分、封神計画を遂行するだけの自分に価値が生まれるような気がした。
あのしなやかな指で肌を触れられる瞬間、体が、心が震えたのを感じた。
熱い。
あやつのことを考えると体の奥が熱くなっていく。
こんなに苦しいのは初めてだった。
「どうしてしまったのかのう・・・・わしは・・・・。」
筆を置き、窓の外を見る。
青い、青い空。
楊ゼンの髪のような透き通る青。
『師叔、愛していますよ。』
楊ゼンの声が聞こえたような気がした。
「な………っ!!」
『師叔…。』
「やめろ…っ。そんな声を出すな…っ!!」
わしは耳を手で塞ぎ、頭を振った。
体が疼く。
もう、楊ゼンがいないと自分を保つことも出来ないのか…。
*
「さて、そろそろ僕は帰ります。」
僕は白い乗騎に跨った。
「・・・・ちょっと待て楊ゼン。」
師匠が出ていこうとする僕を引き止める。
「はい?」
「今から下界に戻ったら真夜中になってしまうぞ?
今日帰るのは止めて明日の朝にでも戻ればいい。」
「そうもいきませんよ。僕は師叔に今日帰るって言ってありますから。
あまり心配させるのも嫌ですからね。」
「でも、確かおまえの用事は昼前にとっくに終わっていただろう。
それなのにゆっくり茶を飲んでいたりして・・・・。」
「ええ。でもどうせならギリギリまでじらした方がいいでしょう?
まあ、明日でもいいのですが本気で怒られますしね。」
「そうか。でもほどほどにしておけよ。太公望はおまえよりも小さいのだからな。」
「はい♪ではまた近いうちに帰ります。」
僕は変な心配をする師匠の元から急いで師叔の元に戻ることにした。
*
「疲れた〜。休憩にしようぜ〜。」
「10回目さ、それ。」
「だって疲れた疲れた疲れた〜!!!!」
「さっき休んだばかりでしょう。このペースだったら今日のノルマは
朝になっても終わりませんよ。」
夕食が終わった後、姫発を公旦と天化とわしで囲んで勉強会をしていた。
まあ、天化は姫発が逃げたときに捕まえるため、のんびりと宝貝の手入れをしていたが。
「ったってよー。帝王学ってなんかめんどくさいし疲れるし、訳わかんねーし、
こんなのやったってムダ!!」
「小兄様・・・・帝王学はこれから王になるあなたには必要不可け・・・・。」
「わかってっけどよー。俺には天性のカリスマってやつがあるの。
わざわざこんなコトしなくても大丈夫だって。」
「まあ、王サマならみんなくっついてくるだろうさ。」
「帝王学はカリスマとかだけじゃなくて経済とか…。」
「どっちにしても疲れた〜!!」
遅い・・・・。
楊ゼンは確か今日帰ってくるといっていたのに・・・・。
「どうかしたさ?スース。」
天化が心配して声をかけてくる。
「なんかさっきからだんまりで、具合でも悪いさ?」
「そうだよ太公望、勉強会なんてやめて早く寝ようぜー?」
「ああ、なんでもない。考え事していただけだ。」
と、わしは慌ててパタパタと手を振った。
「それならいいさ、でも疲れていたら途中抜けてもいいさ。
王サマは俺ッち達が見ているから。」
「スマヌ天化。でも大丈夫だから早く終わらせよう。」
*
すっかり遅くなってしまった。
姫発がダラダラとやっていたせいでとっくに
真夜中になっていた。
「はぁ・・・・今日も疲れたのう。」
わしは独り言をもらす。
夜着にもそもそと着替え、ベッドにひっくり返った。
「なーんで楊ゼンは帰ってこんのだ!!せっかく仕事を
任せようと思っていたのに、これではキリがないわ!!!」
わしはベッドの上を転がる。
「つーかーれーたー!!もー嫌じゃ!!!はよ帰ってこんかい楊ゼン!!!!」
そして、うつ伏せになる。
他のみんなはとっくに寝てしまい、起きているのはわしぐらいだから
わしが黙ると急に静寂が訪れる。
こんなふうに一人になると嫌でもあやつの事が思い浮かぶ。
青い髪、光に当てると紫にうつるきれいな青い目、少しの乱れもない端正な顔、
しなやかな指、その一つ一つが思い出され、わしはまた今晩も眠れなくなる。
「楊ゼン・・・・・。」
わしがポツリとあやつの名前を呼んだ時、それは現れた。
「呼びましたか?」
頭の上から懐かしい響きがする。
「よ、楊ゼン!!??」
わしはガバッと跳ね起きた!
いつのまにかわしのベッドのそばに楊ゼンが立っていた。
「い、いつ帰ってきたのだ!?というよりなんでおぬしがいきなり
わしの部屋に!!!???」
楊ゼンがクスリと笑う。
「帰ってきたのはたった今ですよ。師叔の部屋の明かりがついていたから
真っ先に寄ってみました。いけませんでしたか?」
「いけませんかって…。」
わしが返答に困っていると
「まあ、今日は遅いのでもう自分の部屋に戻ります。」
楊ゼンが後ろを向いて部屋から出て行こうとした。
「ち、ちょっとまて楊ゼン。」
だが、わしはついつい引き止めてしまった。
「はい?」
楊ゼンが振り返る。
「楊ゼン・・・・帰るな・・・・。」
わしの顔が赤くなるのがわかる。
目の前の青い髪の青年はしてやったりという表情で
「それは誘っているととってよろしいのですね?」
わしは黙っている。
それを肯定ととったのかゆっくりと近づき懐かしいいつものキスをした。
優しいけど・・・・どこか激しさが見え隠れするキス。
そして、手はわしの髪をとく。さらさらと、この感触が好きらしい。
わしは自然と口を細く開ける。
楊ゼンはいつものように舌を挿し入れてくる。
舌が、わしの口内をゆっくりとなぞり、わしの舌にからませてくる。
「・・・・っふ・・・・」
髪をといていた手が頭から首筋へと下りてくる。
楊ゼンはもう一つの手で肩はがっちりと押さえて、体が逃げないようにした。
スッとからませていた舌を離し、今度は首筋に細かい、ついばむようなキスをされる。
「…っ…あ…」
わしがくすぐったさに身じろいでいると、
「前より感じやすくなっていますね・・・・やはり寂しかったのですか?師叔。」
楊ゼンはわしの服を脱がそうとしたが、いきなり止めた。
わしが不思議に思うと、
「師叔・・・・あなたから見せてくださいよ・・・・。」
「・・・・う・・・・(汗)」
わしはしばらく躊躇したが、逆らえるはずもなくのろのろと脱ぎ出す。
わしはいつもならそんなことはしなかった。
いつもならだ。
わしはこんなにも楊ゼンを求めていたのか・・・・。
先程のキスの余韻で手が震えうまく脱げなく四苦八苦していると楊ゼンはクスッと笑い、
脱がすのを手伝ってきた。
「可愛いいですね、師叔は。」
服を脱ぎ終えるとわしの全てが楊ゼンにさらされる。
「師叔・・・・。」
楊ゼンはいつのまにか服を脱いでおり、そのまま覆い被さる。
わしの胸の突起に歯を立てられ、びりっと刺激が背中に走る。
「…ッツ…あ…っ」
楊ゼンはわしの反応に満足したのかなおもしつこく胸を攻める。
背中を愛撫していた手はだんだんと腰の方に落ちていく。
腰をゆっくりとなでる。まるで蜜を塗るかのようにじらしながら
どんどんわしの太ももの方まで移動させる。
それと同時に楊ゼン自らもわしの腰の方へ移動していった。
「や…ァ…ッ」
楊ゼンはわし自身を口にくわえ、口の粘膜で刺激する。
わしは小さい頃から仙界にあがり、体が未熟のまま成長が止まったせいか
そういうことで一気にのぼりつめることは出来なかった。
それでも、楊ゼンはしつこく攻め、舌の先で翻弄する。
あまりの快感でわしの体がのけぞったとき、精をはなった。
「っは・・・・ぁ・・・は・・・」
呼吸が乱れる。楊ゼンはわしがはなったものをのみほし、
落ちつかせるように背中を優しくなでてきた。
「師叔・・・愛していますよ・・・・。」
楊ゼンはわしの額にキスをしてわしの中に指を挿れてくる。
楊ゼンのしなやかな指はゆっくりと広げるようにどんどん押し進んでいく。
もうわしの中は十分ゆるいのか、我慢できなくなったのか
いつもはもっと中まで入れてくるのをやめて指を抜いた。
「師叔、少し我慢してくださいね…。」
「うぁ…っ…楊…。」
わしの足を強引に開き、楊ゼンは自身をわしの中に挿れてくる。
楊ゼンは自身をわしの中にどんどん進めていくのがわかる。
「師叔…っ」
わしはもう楊ゼンにしがみつき、絶え間なく喘ぎを漏らす。
それが彼をさらに興奮させたのかわしの中の置くにたどり着いたとき
いままでにないほどの激しさで自身を出入りさせ、わしの体を揺らした。
「楊…ゼン…っ…!!」
「師…叔…!!」
わしが彼の名を、彼がわしの名を呼んだとき、お互いに頂点を極めた。
*
「…ところで師叔。僕のいない間淋しかったでしょう?」
あの後わしは少し眠り、目が覚めたときには空が明るくなりかけていた。
「ぬー…。」
返答に困り、うなっていると楊ゼンがクスッと笑い
「言わないとまたヤっちゃいますよ?」
と、返答をせかせる。
まてよ…?
「言っても言わなくてもヤられるから言わぬ…。」
と、背を向けたとき、
「ふうん?じゃあ、言ったら僕が喜ぶ答えなんですね?」
楊ゼンは後ろから抱きしめてきた。
「…負けたよ、おぬしには。」
抱きしめられるのも悪くない。
またわしは楊ゼンの腕の中で眠りについた。
終