ムチっ子楊ゼン〜春の小川はさらさらいくよ(謎)〜
その日太公望は執務室に篭もり、周公旦、武王と3人で仕事をしていた。
だが、今は旦も武王も席をはずして太公望は1人でいる。
「・・・まったく・・・・楊ゼンはいったいどこへ行ったのかのう?」
太公望はふと1人でぼそりとぼやく。
実は本来ならばその場にもう1人・・・軍師補佐である楊ゼンの
姿がなければならなかったのだ。
しかし、ここ2,3日彼の姿を見たものはいない。
何人にか聞いたところ、どうやら彼は何かの修行をしているらしい。
それにしてもその何かというのが全然分らない。
しょせん、自分ら凡才に天才というものはなかなか理解できないのだろうと
太公望は筆を止めため息をついた。
その時・・・・
ばんっ!!!
「太公望師叔!!」
「ぬおっ!?」
いきなり扉が大きな音を立てて開かれ、その戸口には行方不明であった
楊ゼンが立っていたのだ。
しかも自分の名前を大声で呼ばれたため、太公望は驚いて
思わず椅子から落ちて尻餅をついてしまう。
「なっなんなのだ一体!?」
未だ起きられずにいる太公望の前に不敵な笑みを浮かべた楊ゼンが立ちはだかった。
「さあ行きましょう師叔っ!!」
「・・・・・・・・・は?」
そして、楊ゼンは謎の科白を吐いて太公望がその言葉を理解する前にそのまま
執務室の窓から連れ出していった・・・。
「・・・で、結局わしに何をさせたいのだ?」
肌をすり抜けていく風が気持ちいい。
太公望は楊ゼンに周の大切な水源である川のほとりに連れてこられていた。
川の周りは大小さまざまな石が転がっている。
太公望はそのなかの一際大きな岩に座らされた。
前方には楊ゼン。彼はニコニコ笑っている。
「僕、今までとある修行をしていたんですけどその結果を是非師叔に見てもらいたくてv」
太公望はそんな楊ゼンの身勝手な言動に眉をひそめた。
せっかく仕事をしていたのにいきなり連れ出して何を言うかと思えばそんなことか。
一気に太公望の機嫌が悪くなる。
しかしよく考えればこれはチャンスではなかろうか。
ここにきたのは自分の意志ではない。楊ゼンによって、だ。
仕事が滞ったところで自分のせいではないから遅れて仕事が溜まったとしても
後で楊ゼンにやらせればよいのだ。
「で、仕事をサボらせてまでおぬしは何を見せたいのだ?」
しかし太公望は割り切ったのにも関わらず、言葉には嫌味がたっぷりだ。
だが、そんな太公望の嫌味にも楊ゼンはぜんぜん悪びれることもなく
「ええ、実は新しい攻撃法を編み出したのですv」
ウキウキと説明を始める。
「哮天犬・三尖刀のほかにムチを使おうと思って。」
・・・・・・・・・・。
「・・・・・ソクラテス?」
「それは無知。」
「正月の?」
「それは餅。そうじゃなくてムチですよ。ほら。」
楊ゼンが差し出したものは確かにムチだ。
「これで敵をビシーっと・・・・・」
太公望は楊ゼンの説明を聞き流しながら(←失礼)ふと想像した。
そのムチを・・・・敵にビシーっと・・・・露出狂の楊ゼンが・・・・
ボンテージファッションで・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・。」
そこまで想像した太公望の行動は早かった。
「・・・・あ、師叔!?」
音速で楊ゼンからムチを奪い取った太公望は光速で川に投げ捨てる!!
・・・・・そして何の罪も無いムチは小気味良い音を立てて
春の小川(違)を流れていき、それを呆然とする楊ゼンの傍ら太公望は
遠い目でいつまでも見つめていたのだった・・・・・・・・。
究明続行不可能
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