『・・・・もう君を離さないよ・・・・・!!』
『ああっだめだよ・・・・・・っ』
琥珀色の液体を乗せたスプーンを口に運ぶ。
口に運ぶ動作もスプーンについたそれを舐めとる動作も、同じペースで幾度となく繰り返される。




『・・・・でもだめだ!』
『どうしてだ!?僕らはこんなにも困難を乗り越えてきたというのに!!』
スプーンから、たらり、とフローリングの床に滴り落ちた。
慌てて、傍にあったティッシュで拭う。















『だって・・・・・僕は朝食は絶対和食だーーーーーーーー』
「・・・・・なに見ているんですか師叔」
「シィッ!!もう少し黙っておれ楊ゼン!!」
太公望は後ろで呆れ顔になっている楊ゼンを黙らせながらも、またスプーンを口に運んだ。









HONEY HONEY KISS!!






『心が通じ合ったはずだったのに・・・・食への嗜好が修吾と貴之の2人を阻む!!
朝食はパンか?ご飯か?どっちだっていいじゃんという周囲のツッコミも2人に届かないのか!?
次回『愛と誠〜左斜め45度カメラ目線でお願いします〜』お楽しみにっ』
最後の予告までしっかりと見終えた太公望は、満足げにTVの電源を消した。
「なに見てるかって・・・・・月九の連ドラに決まっておるであろう」
フン、と鼻で荒々しく息を吐いた太公望に、楊ゼンは少々眩暈を覚える。
「ホモの連ドラって一体・・・・・・」
その時、太公望が抱えている瓶の存在に気付いた。
「それにしてもどうしたんですか?そんな大量の蜂蜜は」
確か昨日の夜までなかったはずと楊ゼンは疑問に思う。
「ああ、午前中に姫発が健康にいいからって分けてくれたのだ。なかなかうまい」
「師叔・・・・多分、そうやって瓶ごと抱えて食べるためにくれたのではないと思いますよ」
普通パンに塗るとか紅茶に入れて飲むものだと思いますけど、とため息をつく。
「ううむ、最初はわしもそう考えたのだが一口舐めたら止まらなくなってのう」
楊ゼンは遠まわしにその食べ方は間違っていますよと指摘したつもりだったのだが、さりげなくかわされる。
そんなことを言っている間に、またすくって一口。
「そんなに食べていると夕飯が入りませんよ。そろそろ瓶のふたを閉めてください」
「こんな液体で腹が膨れるか。まだ食う!!」
そう言ってさらにまた一口。
「あっまた食べましたね!?」
いつまでも食べるのをやめない太公望に、楊ゼンは慌てて蜂蜜の瓶を取り上げる。
「あっ!?何をする楊ゼン!!!」
きゅっと瓶にふたをした楊ゼンに、太公望は慌てて取り返そうとするが、簡単にかわされてしまう。
「だめですよ。着替えたらすぐにご飯にしますから」
楊ゼンが太公望からとりあげた大振りの瓶の中身は半分にまで減っていた。
はじめどれだけ入っていたのかわからないが、それでもかなりの量を舐めたのだろう。
今日の夕飯は少なめに作るか・・・と楊ゼンはため息をついた。
「のうのう楊ゼンv」
「・・・・・なんですか」
語尾にハートマークをつけてすりよってくる太公望に、楊ゼンは不審の目を向ける。
こんな態度をとる太公望は、なにかを企んでいる時以外ありえない。
「おぬしもソレ、舐めてみぬか?」
(そうきたか・・・・・・)
予想だにしない太公望の提案に、楊ゼンは頭を抱える。
多分楊ゼンに舐めさせて、あわよくば自分もさり気なく貰おうというなかなかこすいことを考えているのだろう。
ふと、彼の頭にある考えがよぎった。
「・・・・・そうですね。いただきますか」
楊ゼンはにやりと笑い、太公望の顎をつかんで上を向かせる。
「む?」
太公望がなんのことがわからないという顔のうちに楊ゼンはその唇に自分のを合わせる。
不意打ちのキスに、太公望の顔が赤くなった。
「い、いきなり何をする!?」
さらに口付けを深めようとする楊ゼンの顔を押しやり、文句をつける。
「僕蜂蜜は好きじゃないんですけど・・・・あなたの蜂蜜味のキスだったらいくらでもv」
そう言ってさらに軽いキスをもう一度。
「・・・・・・ダアホ(/////////)」
抱きしめる楊ゼンの腕を軽く振り払おうとしながら・・・なんの抵抗もないに等しいが・・・次のキスを待つ。
それに応えるように、楊ゼンは再び太公望の唇にキスを落とした。







※ここからの展開は蜂蜜が好きだという方にはお勧めできません。





「師叔・・・・・」
そしてさらに、顔を近づけると。
「・・・・そそそそういえばどうしておぬしは蜂蜜が苦手なのかのう?」
はっと正気に戻った太公望は腰に回された手を振り払おうとしながら視線をあちらに背け、関係ないことを話題に出す。
どうやらこのままだと寝室に連れ込まれると予感したらしい。彼の言葉どおり液体だけで腹は膨れなかった。
楊ゼンはチッと心の中で舌打ちをする。
「だって・・・・・」
言おうか誤魔化すか、楊ゼンは珍しく言いよどむ。
「ほれほれ言ってみー?」
そんな楊ゼンの様子に、太公望はおもしろそうなものを感じ取ったのか答えを促す。
意を決したように楊ゼンは口を開いた。
「蜂蜜って・・・・蜂が集めるわけですよね」
「うむ」
「で、その蜂ってマンガじゃ壺とか持ってますけど、実際持ってないわけですよね」
「・・・・・うむ」
太公望は楊ゼンの話を聞いているうちに、胸になにか苦いものがこみ上げてくるのを感じた。
聞いてはだめだ、今すぐキスでもなんでもいいから楊ゼンの口を塞げという脳から警鐘がひっきりなしに鳴らされるが、
・・・・・楊ゼンの口のほうが早かった。

「蜂蜜って蜂が口に入れたものを巣で出して、それを僕らが集めて飲んでいるんじゃ・・・・」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」
しばしの無言。
やがて次第に太公望の拳が耐え切れないように震えだす。
「・・・・・師叔?」
無言の太公望に不安を感じたのか、楊ゼンが顔を覗き込む。
それを狙ったように太公望はキッと顔を上げ、
「ダアホーーーーーーーー!!!!!!」
きれいな右ストレートが楊ゼンの顎に入り、気持ちよく吹っ飛んでいった。



次の日、蜂蜜の瓶は空になっていました。










相互リンク御礼に躑躅花 櫻様に贈りましたHONEYHONEY KISSでしたっ
・・・・・というかこんな物体贈って良かったんだろうかと今でも疑問。
ちなみに元ネタは母。

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