「で、おぬしらは一体何なんだ?暑苦しい。」
何が出てきたかとビックリしたが、出てきたのはとても暑苦しい物体だった。
「なんなんだって、見たまんまですよ。」
出てきたのは楊ゼン・武成王・ナタクだった。
ただし、犬・猿・雉の気ぐるみを着ていたが。
「わしにはどーも、理解しがたいのだが…。」
この熱い夏の空の下、あきらかに羊毛100%で出来ている着ぐるみを着て
汗ひとつかいていない3人を見てわしはげんなりとした。
「そうか。ならば殺…。」
「だ、だめですよ、ナタク。ちゃんと師叔に説明しますから。」
と、犬の着ぐるみ楊ゼンは慌てて雉の着ぐるみナタクを止めた。
「つまりだな、俺達は犬と猿と雉って訳だ。」
猿の着ぐるみ武成王は脊髄反射でもわかるような説明をした。
「で、アリスをお連れして悪い魔女を倒しに…。」
犬の(略)楊ゼンがたらたら説明を始める。
わしはなんかぼーっと聞いていたが我に返った。
「な、何故おまえら3人組がこんな所でこんなことをしてるのだ!?
というか、このメンバーで悪い魔女はないであろう!!」
頭がパニクっているので質問の後半あたりがよくわからないが、
この、人の話を聞かないトリオに質問できたのは上出来であろう。
しかし、
「何を勘違いしてらっしゃるのですか? 先入観をお持ちのようですので
言っておきますがこの3匹がそろったからと言って鬼退治、ということは
ないのです。おわかりですか?」
よりにもよって犬(略)楊ゼンはよくわからない所の回答をしてくる。
「というわけであのお城へレッツゴー!!!」
わしはいまいち釈然としないまま猿(略)武成王に引きずられていったのだった。
*
特に反対する理由もないため、黙々と歩く。行先もウサギもないためそのまま歩く。
歩く。
歩く…。
「だーーーーっ!!!その魔女とやらの城は一体どのくらいかかるのだ!?
何時間歩いたと思っておる!!!」
わしは疲れてそこに座りこんでしまった。
「ざっと2時間ほど歩きました。早く行かないと日が落ちちゃいますよ?」
犬(略)楊ゼンはわしの方を振り返った。
そして座りこんでいるわしに手を差し伸べた。
「あと三千里ですからがんばってください。」
「母を尋ねてかい、ダアホ。」
わしは渋々その手を取る。
楊ゼンはわしを引っ張りながら、
「三千里は冗談ですよ。ほら、そこの角を曲がった所ですから。」
とかふざけたことを言い出す。
「角なんかあるかい。」
そう、ここは大草原だから角なん…て…。
わしは呆然とした。
角だ。しかもタバコ屋の。
「……………?」
わしが言葉を失っていると、猿(略)武成王がよくわからんアドバイスをする。
「…ここは一般常識が通用するとは考えない方がいいぜ?」
その言葉でわしはもうどうでもよくなっていた。
*
「さて、いくぞ!!」
わしはどうでもよくなり、アリスとしての使命を果たすべく元気に朝を迎えた。
ちなみに昨日は角を曲がって城の前で野宿をした。
「とっととこのちゃらんぽらんな世界から抜け出すために!!」
「…そうですね。じゃあ、早速行きましょうか。」
と、なんとなく低血圧みたいでまだ眠そうな犬(略)楊ゼンが同意する。
こんな適当な世界だし、わしらはなんの作戦もなく適当な気持ちで城の城門をくぐった。
「なんという無用心さ…。やはりこの世界にはろくなやつがおらぬな…。」
「ろくなやつがいなくて悪かったな、アリス!!」
「ぬおっ!?」
わしが独り言を漏らしたときにそれはいた。
「ぶ・聞仲!!!」
それはまぎれもなく殷の太師、泣く子も黙る聞仲であった。
「よくぞここまで来たな、アリス。」
「よくぞって…特に何も障害はなかったが…。」
「気にするな。雰囲気だ。」
と、あっさりと何もなかったことを肯定する。
「それでは、悪の魔女らしく狼牙爆烈拳!!!!(コマンド:上下上下横AB)」
「き、消えた!?」
犬(略)楊ゼンが驚きの声を上げた。
楊ゼンが言ったとおり悪の魔女・聞仲は全然魔女らしくない技名を言って消えた。
「ど、どこへ言ったのだ???」
わしと楊ゼンが探すと、ナタクがあっさりと
「そこだ。」
と、言い放った。
そことは…。
「ぶ、聞仲!!離れろよ、こんなところで…。」
わしは目を疑った。あの聞仲が抱っこちゃん人形よろしく武成王に抱きついていたのだ。
聞仲が武成王の抗議の声を無視してなおも抱きつく。
「どうしましょう…。」
楊ゼンがぼやく。
「しかたあるまい…奥の手だ!!」
わしは懐からリモコンを取り出した。
「なんのリモコンですか?」
「ナタクのリモコンだ。それ行けナタク!!!」
そう、昨日の晩ナタクが寝たところを狙って改造しておいたのだ。
わしは右のレバーを倒す。
「モクヒョウ・カクニン」
「必殺技その1!!宝貝ミサイル!!!」
「リョウカイ」
どしゅーんという小気味よい音で頭から出たミサイルは
聞仲が抱きついたままの武成王だけに思いっきり当たった。
「ぬう…こげたのは武成王だけだ。ならば必殺技その…。」
「アリス、ページの都合上早くしてください。」
楊ゼンが懐中時計を見ながらよくわからないことでせかす。
「ではいきなり最終手段!!ナタクスマーーーッシュ!!!!」
わしは赤い大きなボタンを押した。
「リョウカイ」
ナタクは足のロケット噴射を使い、体当たりで武成王ごと聞仲を吹き飛ばしたのだった。
「っで〜〜〜〜〜〜〜〜…。」
武成王(聞仲付き)が情けない声をあげながら飛ばされていった。
「さすが最終兵器…。」
「最終兵器はいいですけどどうするのですか。ナタクはそのままロケット噴射で
どこかに行っちゃいましたよ。」
楊ゼンが指摘してくる。
確かにそのとおり、ナタクスマッシュは敵に多大なダメージを与えられるが
そのかわりナタクは壊れるかどこかに飛んでいってしまうのだ。
「大丈夫だ。」
わしはおもむろにあさっての方向の空に向かい
「ナタク…おぬしのことは忘れぬ…ありがとう…そしてさらば…。」
と、目に涙なんか浮かべてみる。
遠くの空に星となったナタクが見えたような気がした。
「…よし、これで万事グーよ。」
と、わしはカカカと笑った。
「結果オーライですね。」
楊ゼンもめんどくさかったのかそれでよかったらしい。
「さて、終わった終わった。魔女を倒したから帰れぬのかのう?」
「まだ悪の魔女は猿武成王にひっついていますよ。」
なんとかへろへろと戻ってきた猿武成王の背中にはやっぱり悪の魔女・聞仲がひっついていた。
「最終兵器でも離れぬか…。さて、どうすればいいのかのう?」
「そうですねぇ…。」
わしらがのんびりと引き離して倒す方法を考えていると、
「ヒューホホホホホホ!!甘いわねアリスちゃん!!!」
という、怪しい笑い声とともにそれが現れた。
続く!?
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