「今思ったんだが」 「どうしたんだ」 「すべては無意味から出来ていると思わないか」 「おい、何言っている?」 「紙にただ単に『あ』って書いてあっても意味ないだろ」 「まあ、いろいろな文字連続していないと意味はないよな」 「しかも、無駄に羅列していても意味はない。意味をなすように並べないとな。ただ意味をなしている 状態が多すぎて気づきにくいんだ」 「意味ある文章は一つでは意味がない文字からなっていると言いたいのか」 「文章だけじゃない、楽譜もそうだろ。どんな名曲の『ラ』でもそれだけじゃ意味はない」 「だからってすべての根底無意味か?」 「俺達がそうだろ」 「何?」 「俺らの遺伝子どうなっているんだと思う?」 「知るかよ」 「アデニン、グアニン、シトシン、チミンが三つ組みになって組み合わせによっていろいろなアミノ酸作ってタンパク質を…」 「わかんねえよ」 「とにかく、そのアデニンだけで意味をなすか?なしやしない。うまく組み合わさってようやく意味をなすんだ」 「つまり?」 「ほとんどの物はそれ一つでは意味をなさない物から出来ているんだ」 |