ドアを開けたら俺がいた。 「なんだよそりゃあ」という顔をしながら、俺は俺といた。 「よう…」あっちの俺が声をかけてきた。 「おう…」こっちの俺が返事を返す。 「お前よ…」 「俺だがな…」 「やっぱり俺はお前か?」 「つまりお前は俺なんだな?」 「多分」 「そうだろう」 二人して(いや一人なのか?こっちのあっちも俺だ。俺は本来一人のはずだ)ため息をした。 「なんでこうなんだよ…?」 「なんでなんだろうな…」 「さあな…」 「わかりゃしねえな…」 「あーーあ」 二人して言った。一人かもしれないが。 「実はよ…」 「どうしたんだ」 「最悪なんだ」 「今の状態以上に最悪なものないだろ」 「あるんだよ…」 「最低だな…」 「最低最悪だよ」 「おーい」 とそっちの俺は誰かを呼んだ。 たくさんの足音と話し声がした。 階段から人がたくさん降りてきた。 俺だった。それも全員。 全員で(全員が全員俺なのだから一人といったほうが正確か?)「あーーあ」と最悪の気分で言った。 |