親愛なる死へ



あなたはいつもいる。
僕の体の中に生まれた時から、いや胎児の頃からあなたはいた。
殺していた。僕を。いつもいつも。
あなたと踊っていた。
ぎこちなくも。
そして見つめていた。
あなたの世界へいざなうためか、僕をじっと見つめていた。

そのようなことをしていたのもいずれ僕を連れて行くために。
今の時点で僕をどのくらい殺したのかはわかりませんがその時はお願いします。
少し嫌ですが人はいずれ死ぬのですから。
何をどうしても死ぬのですから。
ある意味あなたのおかげで今生きているのです。
あなたにはいつそこの世界に連れて行くのかは身をゆだねます。
僕がどうこう言う物ではない。
僕はだけではなく一切の物事はあなたを超えられないのです。
第一、他の生命を殺してくれたから僕は生きています。
ですから僕はあなたに任せるのです。

それでは完全に死ぬ時に。

追伸
あなたに手紙を書くなんておかしいと思われるかもしれませんが、受け取ってください。
あなたはいません。でも存在します。
でもあなたに住所はありません。
だからここに書くだけです。
でも届いたでしょう。
あなたはある意味での「僕」なのですから。


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