岩の中の仏



岩を削った その中に
名の無い 仏がいた

本堂の薄暗がりではなく
陽と陰の境目に 苔むして
杖と永久の微笑を持ちながら

何百年とここに

何万人と人を見て

石の体は
朽ちつつも
風化しつつも
それらを友にして

人に会うために
そこにいる

名の無い仏は ずっとそこにいる
仏縁を糧にして


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