交わり



彼女がいる
透明な彼女が
僕と交わろうとする彼女が
僕にはいる 触れることができない彼女が 姿の無い彼女が
僕に寄り添う
何の前触れも無く……

僕は彼女に気づく
気づかないことはない
忘れてしまうだけだ
彼女が来た事を忘れてしまうだけだ

忘れてしまっても
彼女は僕に寄り添い
手をつなぎ 彼女の存在を気づかせ
僕は彼女と微笑み合う

僕たちだけになった時
彼女と僕は遊ぶ
乳房に顔を埋めながら
女性の体を形成した彼女の

遊び
求め
交わる

僕の体に入り込み
体の中にも入り込み
深く交わり
同じ体になった頃
四散してしまい いなくなってしまう

彼女は 姿の無い彼女は
もうどこにもいない

僕はそれに気づかず
愚かにも
虚空に向かって
遊んでいる

呼んだってこない
彼女とまだいると
思っている

そう思いながら
また彼女を忘れてしまう


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