飛び交う銃弾の下 死を強要される その中で 眠りに着いた 狭い戦壕の 中で…… ………… 眠り 夢と言う海の中で 泳ぐ 青の中 行けない場所の無い世界で 呼吸のできない 不自由の無い世界の中 戦い疲れた兵士は 泳いだ 記憶に残らない海で 兵士は儚い人魚として 泳いだ…… 儚い人魚 目を開けたのなら 向こうの人へ 赤い血を出すのを強要する 赤い 泳げない水を 強要する 冷たい鉛の銃弾を 発射させて 儚い人魚 もう泳ぎを知らない もう水の味を知らない 海を忘れ 泳ぎを喪った 儚い人魚と再びなる時まで 兵士は銃弾を撃ち続け 疲れきる 現実と言う 怖い夢を見ながら 人魚の時を思い出すことはない 冷たい水 冷たい弾丸 儚い人魚はその中を泳ぎ 兵士は 駆けた 儚く忘れ去られる 人魚は 泳ぎ 虚しく忘れ去られる 兵士は 駆けた 二人が同一である事に 気づきもせず 充満する死と弾丸と 冷たい海の中 儚い人魚 赤い血の海を見つめながら 泳いだ 力なく…… 流されるように……… 兵士は…… 泳いだ |