今日も夢を見た。 周りが暗い、夜の夢だった。 山の中みたいだった。あまり物が見えない。 夢の中なのに痛みがしたように感じる。崖から落ちたようだった。 大きな岩をベットに寝転がっていた。 しばらくして、人の頭くらいのところに二つ小さい光が見えた。 近づいてくる。少しずつ、少しずつ……。 私は少しも動けなかった。全身の痛みと恐怖で。ただぼんやりとした光を見ていた。 心臓が激しく動いていた。 それの二つの光はその下に大きな体があって、私に覆い被さった。 やさしい穏やかな息使いと、生臭いにおいがした。毛布の様な暖かい、やわらかな体だった。 生暖かい物が私の顔を滑る。舌が顔をなめたのだろう。全身の体の力が急に無くなった。 安心して、無くなった。 私は覆い被さってきた人物――女性のようだった――に抱きついた。 彼女も私を抱きしめた。やさしく、本当にやさしく。宝物のように。 そして抱きかかえた。上着の首の部分をくわえていた。 そこから記憶がない。眠ったのだろうか。夢の中なのに。 この夢の途中に別の夢の記憶がある。 小さい頃の母親との夢だった。はっきりと覚えていない。 目を開けると太陽の光が少し見えた。夢の太陽だ。 目の前に厳しいまなざしの女性を光は照らしいていた。あの彼女だろう。 彼女は私に気づくと微笑んで、胸の辺りに抱きしめていた私の顔を自分の顔の所まで持ってきて眠ったようだった。 普通の女性の様な寝顔だった。口からほのかな血の匂いがした。 手に毛皮の感触がした。 抱きしめている彼女の体だった。獣のように体から長い体毛が生えているようだった。 普通の人間ではなかった。 彼女も私を抱きしめている。 我が子の様に……。 再び目を開けている事に気づいた。 また眠っていたようだった。 外はまだ明るい。 あの彼女はいない。不安な気持ちになる。 寝ていたのは洞窟のようだった。彼女の巣穴なのだろう。子宮を連想させた。 天井は低く、四つんばいになりながら外に出た。全身に傷みがした。この夢を見たときけがはしていなかったのに。 目の前に彼女が立っていた。引き締まった体を持つ大きな女性だった。吸血鬼の様な犬歯に鳥をくわえていた。 怖く感じた。私を助けてくれたあの人だとわかっていても。大蛇に睨まれたかえるのように動けない。 彼女はおもむろに鳥を牙と長い爪がある手で裂き始めた。 手馴れた手つきで取りは一瞬で姿を消し、ただの肉になった。彼女はそれを手渡そうとしたが私は手にとらなかった。 血だらけで生々しかったからだ。 彼女はそう言う態度を見て、鳥を自らの口の中に丸ごと入れた。 骨ごとバキバキ鳴らして。 そしてしゃがみこみ、そっと口をつけた。私の口と。一気に鳥の肉が口の中に進入した。 すんなりと私は飲み込んでいた。 彼女は笑う。私自身笑っている気がした。 再び巣穴に私はいる。 彼女に抱かれていた。あなり彼女は怖くなくなっている。 もう何日か経っている気がする。 朝早く、彼女は私を連れ出した。体はもう痛くない。 ついた所に人がいた。私と同じ普通の人が。 急に彼女は私の肩に噛み付いた。そして頭をなでた悲しそうに。 意味はもう受け取っていた。 私は人々の方へ歩き始めた。 次の瞬間、私は現実にいた。 目を開けたらいつもの天井だ。夢から帰ってきていた。 彼女が私を帰してくれたのだろうか……? |