「とうとう見つけたぞー。あれが火星人の基地だ。どうだ。怖いだろう。怪しいだろう?」 「あの鉛筆型の建物が?」 「ちぇっ。お前には、あの怪しさがわからないのかよ」 「火星人秘密基地探索ごっこはもういいや。サッカーやろうよ」 「よぉし、やろう、やろう」 移民団の子ども達は、そう言って駆け出していった。 確かにあの建物は、子ども達が言うように火星人の建物だ。 大きな白い雲。穏やかな青い空。緑の山。こんな風景はかつての火星には存在しなかった。 この火星の環境を自分達の住みよいように変えていき居住区を増やし続けている、君たち新火星人の建物だ。 ここも、あの鉛筆型建物が乱立するのだろうか。 "火星人"は、ゆっくりと目を閉じ火星特有の赤い砂嵐の健在な土地へ戻っていった。 |