歴史の授業。 覚えなければならない事が多すぎて教科書の厚さを見るたびに嫌になる。 人類誕生からの歴史が書いてある教科書。何年に戦争があったとか、偉大な発明や発見が者のややこしい人物名とか、時代の特徴とか。 覚えなければならないことがたくさんある。 これからも、毎年少しずつ歴史の教科書は厚くなっていくのだろうと考えただけでもうんざりだ。 僕は教科書の欄外に小さく載ってる「地球」という単語に心を奪われた。地球。確か同じ太陽系の惑星だ。 「ここまでで質問はないか?」先生が言った。 「先生、何故、歴史の教科書に地球が載っているんですか?」 「良い質問だ。地球は人類発祥の伝説を持つ星なんだ。我々人類は、火星で発生したというのが多くの学者の唱えるところで、その説にそって、この教科書も作られている。 しかし、一部の学者の中には、地球こそ人類発祥の星で、我々の祖先が移住してきたと唱える少数派も強固に存在するのだよ」 「どっちが正しいかは、確かめられていないのですか?」 「地球発祥説は、あまりにも突拍子がないからな。火星発祥と考えていれば間違いはないだろう」 なぁんだ。歴史の教科書がどんなにいかめしくたって、結局何も判ってないんじゃないか。人類発祥の伝説を持つ青い星。 僕は地球にとても親しみを持った。 |