お風呂免許習得物語
<其の11>

【み・10級受験者】
「朝刊が来た。どきどきするなぁ。どこかな。あったあった。
え〜と10級合格者は・・・。!!やった!合格だ!そうそう。
名人・・・1級合格者は・・・。!ない!どうしよ。」

【Q1級受験者】
「おはよ。新聞もう来てるのか。」

【み・10級合格者】
「あ・・おはようございます・・・。あの、あの。」

【Q1級受験者】
「新聞よこせ。ふむふむ。おっ、お前受かってるじゃないか。」

【み・10級合格者】
「はい。名人のお陰で・・で、あの、あの。」

【Q1級受験者】
「1級は・・・。あれれ。う〜む。」

【み・10級合格者】
「名人。気を落とさないで下さい。次を目指しましょう。」

【Q1級不合格者】
「注目のQは、ライバル田中泰蔵(56)と共に今一歩というところで不合格とな り、今回は1級合格者は無し。ただし、田中泰蔵の方が僅差でリード。よって田中泰 蔵を仮1級とし、厳しいかも知れないがQには、自戒と期待を込めてそのまま2級。 より一層の精進を願う。尚、試験は異例に来月再び行う・・・。」

【み・10級合格者】
「名人・・・。」

【Q1級不合格者】
「・・・。」

【み・10級合格者】
「・・・・あれ?電話だ。もしもし?はい。そうですが。いえ、名人の電話でのコメ ントは差し控えさせて貰います。はい、そう言うことで失礼します。  雑誌のイン タビューでしたが断りました。
あれ?また電話だ。」

【Q1級不合格者】
「俺が出る。もしもし。あっ・・・。はい、Qです。え?そんな。ちょっと一度逢っ て・・。あっ、切れた・・・。」

【み・10級合格者】
「どうしました?」

【Q1級不合格者】
「いや、彼女・・、いや、会長のお孫さんから・・・。」

【み・10級合格者】
「電話切れちゃったんですか?」

【Q1級不合格者】
「ちょっと考え事をする。部屋に入ってくるな。電話も取り次ぐな。」

【み・10級合格者】
「はい。名人。ショックを隠しきれない様子だ。いろいろなことがあったからなぁ。 パソのデータが吹っ飛んだこともあったし。名人が風邪を引いた事もあったし。私が おなか痛くなった事もあったし。試験近くなってから名人は外出が多くなったし。試 験当日に4時間かかって作ったデータを消してしまうという事もあったし。」

【Q1級不合格者】
「おい。修行の旅に出ることにしたぞ。」

【み・10級合格者】
「ほえ?」

【Q修行者】
「いろいろ考えた。やはり俺の心の持ち方に誤りがあったようだ。
このままでは俺の師匠にも申し訳が立たない。俺は旅に出て来月の試験では必ず1級を受かる。」

【み・10級合格者】
「それでこそ私が師と仰ぐ名人です。あの、よろしかったら私もお供させて下さい。 身の回りのお世話をさせていただきたいのです。」

【Q修行者】
「物見遊山ではないぞ、厳しいぞ。」

【み・弟子】
「はい。」


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