「命と向き合う」
 
久しぶりに牛の双子が生まれました。とても小さくて親のお乳に吸いつけず、人の手で哺乳して育てることになりました。アンガスは基本的に子育て上手な牛で、ミルクも十分出るといわれていますが、出産時に神経質になりやすいという特徴もあります。今回出産した牛は、子牛を泥んこから救おうとした夫を10メートル以上追いかけてきたというつわもので、とても近寄れません。
双子の世話は大変ですが哺乳瓶からぶきっちょに必死にミルクを飲む姿はかわいらしいものです。子牛が哺乳瓶に慣れてくると子供がミルク係りになります。今回は下2人が担当です。よだれとミルクでべとべとになりながら、めんこいねーと世話をしていました。8日目の朝、子供がミルクを飲ませに行くと一人が呼びにきて、心配そうに、1頭の子牛が立てないというのです。見に行くと、かなり変です。すぐ獣医さんに見てもらうと、ひどく悪いらしい。昨日まで元気に哺乳瓶に吸い付いていたのにこの変わりようは納得できません。この日は牛に番号をつける日で50頭以上の牛の耳に番号札をつける作業があり、途中で獣医さんと、子牛の様子を見に行くと死んでいました。あまりの早さに言葉もありません。夕方死因を知らせに来てくれました。脳脊髄炎といって、感染から小脳にひどい出血があったそうです。助からない病気ですがあきらめきれません。子供もがっかりです。さあ、もう1頭を大切に育てようと言っていると子牛がいません。探すと、雪に埋まって動けなくなっています。ぐったりして心配です。ミルクも飲みません。次の朝行くと死んでいました。原因は腸に穴が開いていたそうです。あっという間に2頭の子牛を亡くしました。こんなことは初めてです。台所には2本の哺乳瓶と粉ミルクが残っています。なんとなく片付ける気になれなくてまだそのままです。生き物を飼うということは命といつも向かい合っていること。それを実感しています。


ゆのみ NO22   3月22日
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